リュリュエル ☆ 爆誕の二十

二百三十三羽 ☆ リュリュエル、噴水!

「フィスエル、そんなにちゅ〜しないでください〜。

ボク、恥ずかしいですぅ〜〜〜。

…………ん……うう〜ん……え〜と……

ボクの口に吸いついてるのは、触手が変な形をした小さいイカさんでした!

イカ刺し、おいしそうですね?」


「きょっ!?」


「あれれ? ちゃぷんと海の中で残念ですぅ。

どこまでも広がる青い大空に輝くまぶしい太陽!

どこまでも広がる母なる海!

う〜み〜は♪ ひろい〜な♪ お〜き〜い〜な〜♪

右を向いても!

左を向いても!

海だらけです!

今のボクは!

ちゃぷちゃぷ♪

ぷかぷか♪

波にゆられて漂っちゃってま〜〜〜す!!!


ついつい、さみしいと心の声がだだもれです!

フィスエルやマオ様たち、殿下さんたちはご無事でしょうか?

なんでボクは海のど真ん中でぷかぷか浮いているんでしょう?」


海の中から近づく怪しい影!

ザッパ〜〜〜ン!


「ふぃわわわわわわ!

海のギャング、巨体な白水晶シャチさんです!

逃げ! 逃げましょう!

クロール! バタフライ! 天使かき!

ふぇわわわわわわわ!

追いつかれちゃいます〜!?

ボクの体がバックンと咬まれちゃいました!

ボクを食べてもおいしくないですよ!?

そんなにぶんぶんしないでください!

バッチャン! ビッチャン!

ガボガボ! ゴボゴボ!

目がまわりますぅ〜〜〜!」


「オルカ! 勝手に装具をはずして行っちゃうなんて!

オールをこいで進むの大変なんだからね!

なに食べてるの!?

変なもの食べちゃダメだよ!

おなか壊しちゃう!」


謎の人物の掛け声でぼちゃんと海に放り出されるボク!


「よしよし、いい子だね!」

「きゅう〜♪」


「なにを食べようとしたの?

ええ!? 翼人!? 大丈夫!? 生きてる!?

なんでこんな海のど真ん中に浮いてるの!

早く船に引き上げなきゃ!

オルカ、手伝って!」


「きゅう〜」


「怪我がひとつもない!

海水でおなかぱんぱん!

吐かせなきゃ!」


ぴゅ〜〜〜〜〜〜

ボクのお口からしょっぱい噴水!


「ふわ〜〜〜〜! 死ぬかと思いました!」


「生きててよかったね!

大丈夫そうで安心だよ!」

「大丈夫じゃないです! ぷんぷん!」


「ていうか、翼人なら飛んで逃げればよくない?」

「…………忘れてました! てへぺろ!

ところでどちらさまです?

人差し指と親指で作ったハートからのぞきこんでエンジェリックア〜〜〜イ!」


「いやん! 何そのかわいいポーズ!」


「ふわ!? かわいいなんて照れちゃいますぅ〜〜〜!

お名前は……ミーノ・ハシャウ様?

なんだか、そこはかとないお名前!

称号は<心と記憶のかけらを喪失した漂流者>

それと<???の落し子 忘れられし???>

スキルは……不明?

なんだか、あやふや忘れちゃってるみたいです!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る