二百三十二羽 ☆ リュリュエル、奔流!

上空に笑みを浮かべる天使がひとり!


「貴様ら! 俺を生かしたままにしたことを後悔するがいい!

善なる存在とは、ほど遠い者どもよ!

いずれ神となる善の天使グドネエルが今一度、神の裁きを要請する!

ヘブンズウォーベル!」


ゴーン

ゴーン

ゴーン

再び、カナリコーダイ国に鳴り響く、天からの鐘の音!


「これって! さっきのじゃない!?

やばいわよ! 都の魔法陣、作動してる!?」

「はい! ヨウメ様がもう一回なら大丈夫かもって言ってました!」


「リュリュエル! フィスエル!

ヨウメちゃんと殿下は!?」

「は〜?」


「マオ様! ヨウメ様は……殿下さんとごいっしょです」

「ヨウメちゃん、倒れてるけど大丈夫!?」


「空を見て! くるわよ!」


チリ!

チリチリチリチリチリチリチリ!


天高く夜空に輝く巨大な光の柱が!

都に施された巨大な魔法陣が発動!

魔法陣を駆け巡る青白い光が隅々まで行き届きません!


ズズズズ、ズッドーーーーン!!!

ドドドド、ドドッカーーーン!!!


「またも、天から濁流のような光子の奔流! 大爆発です!」

「多重障壁が構築されて、受け止めてる!

でも待って! 光子の奔流を止めきれてない!

障壁にヒビが! もたないわよ!!!

みんな死んじゃう!」


「うそ! 俺、どうしたらいい!?」

「マオ〜〜〜♡

死んじゃう前に約束のちゅ〜して♡♡♡」

「せ〜まちゃん!? あきらめちゃダメだよ!

ちゅ〜は、なんか怖いから助かったらね!?

リュリュエル、なんとかならない!?」


「皆さん! うまくいくかはわかりませんが!

とっておきの奥の手があります!」


「あるなら、さっさとやりなさいよ!」


「エンジェ〜〜〜ルバッグ!

フィスエル! マオ様! てふてふちゃんにせ〜まちゃん!

ボクのそばに!」

「「わかった(〜)!」」

「マオ〜〜〜♡(ぎゅぎゅっ!)」

「痛たたたたた!」


「殿下さんも来てください!」

「え!? ヨウメちゃんは!?」


「僕は……余は、いや、俺は貴様らなぞとはいかん!

ヨウメとともに、自らの力でなんとかしてみせるのだ!」


みんな「俺たちも助けてくれ!」

「魔王様!」


「リュリュエル! 多重障壁が破壊される!!!」


光子の奔流が多重障壁のヒビ割れからあふれ出ます!

頭上にほとばしる光の嵐!


エンジェルバッグを掲げます!


「どさくさでエンジェルバッグに大量に収納した<異渡りの水鏡>の出番です!

エンジェ〜〜〜ル! タイムトラベルシャワ〜〜〜!!!」


エンジェルバッグから吹き出す大量の桃色水流が、光のように感じる速さで都中の建物を透過して、都中の皆さんとボクたちに降り注ぎます!


「もうだめ!」


多重障壁を突き破って光子の奔流が目前に!


「ふぃわわわわわわ!!!」

「きゃああああああ!!!」

「うわああああああ!!!」

「わ〜」

「マオ〜〜〜♡(ぎゅぎゅっ!)」


広範囲の時空間転移がいま!

ジジジジジジジジ!

パキン!


「ヨウメ、いつか必ず復讐を!

俺は魔王となって神を滅ぼす!

くははははははははははは!!!」


ヨウメ様を抱えて、ヨウメ様の腰にぶら下がるにゃんこのぬいぐるみを手にする殿下さん!

渦巻く風圧のせいか、なぜか殿下さんを護るように覆いかぶさるヨウメ様のなきがら!

カナリコーダイ国をのみこむ光子の奔流!

街も城も、都の周囲もすべてを巻き込んで大爆発!!!



☆☆☆次回新章!☆☆☆

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