二百二十羽 ☆ リュリュエル、魔法陣!
「てふてふぱうだ〜」
「さわやか!
全部、倒したぞ!」
「たおした〜、せいじゅうたべる〜」
「聖獣、食べちゃっていいの!?
さっき倒したのとおんなじ首輪してるよ!?」
がぱっ!
ベキボキ!
ガキガキ!
ゴキゴキ!
ごっきゅん!
再び魔族たち「うわあ」
「凶悪顔であっという間に食べてくわね」
「てふてふちゃんのスキル<果てない食欲 あふれだす無限てふてふぱうだ〜>が全開ですね!」
「あんまり〜、おいしく〜、ない〜」
「この妖精、やはり魔に属する妖精の類ではないのだ?
はじめて見たのだ」
「みんな無事!?」
「マオ様! またしてもお助けいただきまして!
殿下に代わって謝意を! ありがとうございますなのだ!
こんな布切れ一枚、裸同然で勝利されるなんて、まさに暗黒騎士様の鏡なのだ!」
「ヨウメ……僕も、僕も、戦えばきっと……」
「マオくん、いつから暗黒騎士になったの?」
「呪われた聖なる魔剣ですし、それっぽいですね!」
「俺って暗黒騎士だったの!?
ヨウメちゃん、俺は一応、勇者なんだけど?」
「この者が勇者? ヨウメ、勇者って何?」
「勇者とは勇気のある選ばれた者のことです。
巨人族をも上回る膂力を持ちながら、あのように強力な黒い魔剣を所有していらっしゃるのですから、それも当然なのだ。
その……マオ様、あの……」
「ん? 顔に何かついてる?」
「いえ! あの……はい……素敵な……その……瞳が……
あ……しかし、わたしには殿下が……いけないのだ……」
「ヨウメ……」
「やっぱり恋心が止まりません!」
「ヨウメちゃん、マオくんにすっかりメロメロね。
そして殿下くんが不安そうで、せ〜まちゃんが怒ってる。
それにしても、天界にしかいないはずの聖獣がなんでこんなところにいたのかしら?」
「殿下、我らが都まであと少しです。もう少しのご辛抱を」
武装した毛長馬に騎乗したヨウメ様が、重装馬車内の殿下さんにお声をかけますがお返事ありません。
「俺、馬に乗るなんてはじめて!
しかもつのが二本に足が六本ある! かっこいい!
でも、ヨウメちゃんの後ろに乗ってよかったの?」
「ふぁい! あの、しっかり腰につかまってください……
あ、マオ様、そろそろ我らの都が見えるころなのです。
ほら、そこの崖から見下ろせますのだ!」
重装馬車の窓から二人を見つめる、さみしそうな、憎々しそうな表情の殿下さん。
「うっわぁ~~~おぅ!
青白く光輝いてそびえるお城が夜景にお見事!
城下町も幻想的に光り輝いてます!
なんだか規則正しく、一部が再建されたんでしょうか?
新旧建物が幾何学的でまるで魔法陣!」
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