二百二十一羽 ☆ リュリュエル、毒殺!

「絶景だな!」

「ぜっけ~」


「ほんとに綺麗な都ね!

急造感があるけど、都の配置がまんま魔法陣になってる。

これだけ巨大だと、どんな大魔法が施されているのかしら?」


「貴様ら、ふよふよと勝手に飛んでくるな! 自由か!?」

「うるさいわね~。ちゃんとロープでつながってるから逃げないわよ」

「ボクたち、ゆる〜く緊縛されちゃってます!」


「許されよなのだ。

ふわふわくるくるしてるようなお前たちが、凶悪な神の使徒と違うのは十分わかった」


「ふわふわくるくるってわたしも!?

リュリュエルと一緒にしないで!?

大体、天使が凶悪ってどういうことよ!」


「ほんとに知らんのだな。

癒しと風呂には感謝しているし、マオ様のご要望でもある。

悪いようにはしないからおとなしく捕まっていてくれなのだ」




城の魔族たち「開門!」

「王太子殿下のご帰還だ!」

「道を開けろ!」

「見ろ! 見慣れぬ暗黒騎士が神の使徒を縄で捕らえてるぞ!」

「あの剣を見ろ! なんという禍々しいオーラ!」

「まるで飛ぶペットだ! 凶悪な天使を捕えるとは、よほど手練れに違いない!」


「ふぅわ!

なんだかマオ様、憧れの表情で注目されちゃってますぅ〜!」


「ペットって失礼ね!

魔族の騎士兵士たちが、姿勢正しくそろって頭をさげてるわ。

殿下くん、敬われてるわね?」

「……だといいのだ」


「なんかさ……悪口聞こえるんだけど。

俺、耳もすごいから」

「聞いてみましょう!」

「「エンジェリック(ル)イヤ〜〜〜!」」


城の魔族たち「引きこもりのくそ無能王子が帰ってきやがった」

「先代魔王様が崩御されたとたんかよ」

「何が王太子だ! 全員、毒殺しやがったくせに!」

「事故でって話もあるらしいじゃないか?」

「魔王になるお方は、あの暗黒騎士のように魔のオーラがあふれでるくらいがいい!」


「ふわ! なんだか皆さんとってもぷんぷんです!」

「魔のオーラってせ〜まちゃん!?」

「あらまあ、どういうことかしら?」


「殿下はそもそも王位継承権は六位だったのだ。

魔王様をはじめ他の王位継承者は、死因はどうあれ、この数ヶ月で全員お隠れになってしまったのだ。

そのすべてに対して……殿下の謀略によるものと疑われているのだ」


「ふ〜ん。でもそんな事実はないのよね?」

「奥地の別邸に引きこも……心やさしい殿下がそのようなことするはずもないのだ!」


「情報操作までしっかりされてるのね。周りは敵だらけってことかしら?」

「なげかわしいのだ!」


「ヨウメちゃん、俺が倒したあの白い狼たちってさ。もしかしてそういうこと?」

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