二百十九羽 ☆ リュリュエル、聖獣!
「マオ様、ここでも攻撃力を発揮しちゃってます!
さすが、お腐れ勇希様、憧れのイケメンひろ兄ぃ様!」
「おくされって何?
いや待って、ゆきって言った?
ひろ兄ぃって……まさか、お隣の勇希ちゃんのことか!?
なんで知ってるんだ!?」
「ちょっと前にお会いしました!」
「会った!? まさか異世界転生してるのか!?
そんな! うそだろ……死んで……トラックから助けられなかったのか!?」
「いえ、ちゃんとご無事で、はあはあ妄想してました!
異世界転移みたいですよ?
マオ様の転生に巻き込まれたかもしれないとかなんとか?」
「はあはあ妄想ってどういうこと?
なんてこった……今どこにいるんだ!?」
「ん〜〜〜? 実はどちらにいるのかわからないんですぅ〜」
「そうか……あんな清純清楚でおしとやかな勇希ちゃんが、凶悪な魔獣がたくさんな世界にいるなんて。
旅の目的ができた。勇希ちゃんを見つけないと!」
「みつける〜」
「けっこうお元気でしたが、そうですね! ボクもお手伝いしちゃいます!
ところでシャオ様はどちらです?」
「そうだ! シャオが大変なんだ! 見てくれないか!」
「エンジェリックア〜〜〜イ!
ん〜〜〜? バッグに入るくらい小さくなって、冬眠してる感じになっちゃってます!
聖力あふれる天宙世界樹から遠く離れて、闇力あふれる暗黒魔獣の森ですからね」
「そっか、じゃあこのまま寝かせてあげた方がいいのかな?」
ちゃぷんと露天風呂を楽しむ皆さん。
「ヨウメ……あ、あの男が、す、好きなのか?」
「ひえ!? 殿下!? いえ決してそんなことはないのだ!?
わ、わたしはそもそも殿下の!」
があああああああああ!!!
突然の獣な唸り声がたくさん!
「う、うわ!? 魔獣があんなに!?」
「殿下! おそばに!」
「う、うん!」
「魔獣なら俺にまかせろ!」
「白い狼がたくさん!
あれって……ヘブンズウルフよ!
天界の聖獣じゃない!」
「天界なのだ!? まるで見たことがない魔獣と思ってはいたのだが、さっきと同じ獣なのだ!」
「え!? 聖獣ってどういうこと!?
さっきのは倒しちゃったけど、倒しちゃっていいの!?」
「いいも何も、あっちは殺る気まんまんよ!」
「四方八方、囲まれちゃってます!」
「着替えてるひまもないじゃない!
マオくん、殺らないと殺られるわよ!」
「フィスエル、お顔が怖いです!」
「わかった!
聖なる魔剣よ! 俺と共に舞え、戦え!
ホーリー! ダンシングソ〜〜〜ド!
内臓がねじれる!?」
「てふてふぱうだ〜」
「すっきり!」
「<聖なる力を害意ある敵に 自らの害意も自身に受ける魔剣>な、せ〜まちゃんと、マオ様の奥義、てふてふちゃんのコンビネーションが炸裂!
次から次にヘブンズウルフを倒していきます!」
「マオくん、あいかわらず大変ね」
「そう思うなら、手伝うとかしてくれない!?」
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