二百十八羽 ☆ リュリュエル、恋心!

「ははははは!

俺、マオ・ウォタースゾって言うんだけど、キミの名前は?」

「あ、ああ、あの、わたくしは近衛騎士隊長のヨウメ・コウ・ホウと申します。

マオ様……ヨウメとお呼びくださいなのだ……ぽっ」


「ヨウメさん、なんだかよくわかんないけど、この天使二人は俺の大事な友だちなんだ。

よかったら仲良くしない? 二人ともいいやつだよ」

「いいやつ〜」


「マ、マオ様がそうおっしゃるのなら……様子を見ても……」


「じゃあ、ヨウメさん。一緒に入ろうよ! 気持ちいいよ!」

「ふぁ、ふぁい!」


かぽ〜ん

暗黒魔獣の森に響く湯おけの音


「なんだ、マオくんにかかればちょろいわね?

魔族のくせに」


「ちょ、ちょろいって言うななのだ! 神の使徒のくせに!

で、殿下!? 何をじっとみているんです!?」


「わっ!?

ぺったんよりたっぷんがいいなと思って……」


「で、ででで、殿下!?

は!? そうですよね……今は亡きお母上様を思い出されて……おいたわしいのだ〜」


「違うんじゃないかしら?

ぺったんて誰のことよ!

あ、リュリュエルか」


「ふぃわ!? ぷにぷにの小さなお胸ですが、ぺったんじゃないです!」


「いや~、汚れをさっぱり落とさせてもらった!

リュリュエル、久しぶりにありがとう!」

「は〜い。アヒルさんいっぱい。

ボクもみんなとお風呂楽しいで〜〜〜す!」


「ね、ヨウメちゃん。聖水温泉、香りもいいし、気持ちいいでしょ?」

「……」


「どうかした? 顔、真っ赤だよ?

のぼせちゃった?」


「も、もう、ちゃんづけなのですか?

マオ様には困りましたのだ〜。

こんな下着みたいな衣装はじめてですし……殿方と湯浴みだなんて……なのだ」

「? 何をごにょごにょ言ってるの?」


「あの……汚れが取れてすっかりおきれいなのだ。……その……想像以上にたくましくて美丈夫なお方なので、わたし……」


「びじょうぶってなんのこと?

俺、子どものころから踊ったり、テレビ番組の仕事ばっかで、勉強あんまりしなかったからなあ。

今度、教えてよ!

あとさ! 剣や腰にかわいいぬいぐるみをぶら下げてたりとか。

言葉の最後に、のだ、なのだ、ってなんかかわいいな!」


「ひう! ぬいぐるみは手放せなくて!

子どものころからの口ぐせで、なかなか直らなくて!

そ、その、近いのだ!

あの! わ、わたし、やっぱり上がるのだ〜〜〜!

きゃっ!?」


バッシャン!


「つるっとふわっとヨウメ様がマオ様の腕の中!」


「は……わ……わ……ひう!」


「ヨウメ様のお顔が今にも大噴火しちゃいそうです!」

「勝手に大噴火してればいいわ。

ところで、せ〜まちゃんもぷんぷん大噴火してるし、殿下くんも不機嫌そうよ?」


「それぞれ恋心が止まりません!」

「ヨウメちゃん、すっかりマオくんにメロメロね」

「お前もちゃん付けなのだ!?」

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