二百十六羽 ☆ リュリュエル、和風!

「「エンジェルキュア〜」」

「てふてふぱうだ〜」


「天使が我ら魔族に癒しなのだ!?

というか、貴様ら緊縛はどうしたのだ!?」


「ほどいちゃいました! てへぺろ!

捕縛術としてはまだまだですね!」


「一瞬!? ほどくな! なのだ!

まだまだとは、おのれ神の使徒め!

……悔しいが、癒しには感謝するのだ。

それに妖精の粉! このフェアリーはもしや?」


「確か、フォレストフェアリーって聞いたことあるけど?

みんな怪我が治ってよかった!

でも、今の襲撃でみんなしてだいぶ汚れてる。

よかったらこのタオルでふく?」


「フォレスト?

それ……タオルですか? まるで消し炭のような布なのだ!

臭そう!

それはちょっと、いえかなりご遠慮しますのだ。

あなたの方こそ、お顔や体がだいぶ汚れていらっしゃいません?

黒い魔剣に全身真っ黒。暗黒騎士様なのですか?

もしや最恐暗黒魔獣がひしめく広大な森で修行でもしてたのだ?」


「やっぱり、そっち系の森だった!」



「いよっと! はい! 倒れた馬車を起こしたよ!」

「うそ……巨人族じゃあるまいし、こんな大きな重装甲の馬車をたった一人で……魔獣の群れも一撃……なんて素敵なお方なのだ。

もしよろしければ、城まで護衛を、殿下をお守りいただけないでしょうか?」


「城!? 護衛!? 殿下!?

なんかはじめて、まともなイベントっぽいのきた気がする!

いや、待てよ……馬車!? ここは街道!?

うそ! 転生してからほぼ四年と半年! はじめて文明を感じる!

よくよく見れば、ツノが生えてるけど、とってもかわいい美少女!」


「そ、そんなかわいいだなんて……は、恥ずかしい! なのだ!」


「そうだよ! 久しぶりだよ! 魔族とかどうでもいい!

俺……俺! うれしい〜〜〜!!!」

「ひゃん! 抱きつかないでくださ……くさっ! 臭いのです!」


「ヨウメに抱きつくな!」

「殿下! 申し訳ありません!」


「ついうっかり!

ごめんなさい! 俺、臭い!?」

「くさい〜」


「リュリュエルの風呂が懐かしい!」


「マオ様も皆さんも、だいぶどろどろのベチャベチャのぐちゃぐちゃですね?

よかったらお風呂に入っちゃったりします?」


「ほんとか! 一年ぶりの風呂! 入りたい!」

「おふろ〜」

「こんなところでお風呂!? ばかじゃない!?」


「でも、前みたいにビニールプールじゃ小さくない?」


「はい! 大勢いらっしゃいますので、おっきいお風呂を作っちゃいましょう!」

「は!? 貴様、何を言ってるのだ!?」


「エンジェ〜〜〜ルコンストラクション!

はい! 和風を感じる露天風呂の完成で〜〜〜す!」

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