リュリュエル ☆ 爆誕の十九

二百十四羽 ☆ リュリュエル、成人!

「ふんふんふふふ〜ん♪

疲れた体にシャワーが気持ちいい〜!

ホテルニューエンジェル、やっぱり最高ね!」


シャワ〜

(大事なところはシャンプーボトルとかで見えないわよ!)


「それにしても……ラブエルが行方不明ってどういうことよ?

どこ行っちゃったのよ?

昇級試験にも現れないし。わたし、落ちちゃったし。

はあ……さっぱりしたし、そろそろあがろうかしら」


シャワーを止めてっと……


ジジ、ジジジジジジジジジ


「…………?

何これ? 空間が歪んでる?」


パキン!


「ふぃわ!? ここどこですか!? フィスエルだ〜!」

「ひゃわ!? リュリュエル!?

ちょっと、なんで急に!? ここ、シャワールームよ!? どっから現れたのよ!?」


つるっとどすん!


「びしょびしょですぅ〜!」

「……ど、どどどどどど! 両手でどこつかんでるのよ〜〜〜!?

冷たい! エンジェルバッグからピンクな水がこぼれてる!

あんた、なんでピンク色な水でびしゃびしゃなのよ!?」

(大事なところは蛇口とかで見えないわよ!)


ジジ、ジジジジジジジジジ


「ふぅわ! 空間が歪み始めました!

転移が始まります!」


「へ!? 転移!? わたしも!?

待って! 羽と輪っかを!

衣! 衣が届かない!

ちょっと待って!」


無情にも! パキンと転移スタート!


「ふぃわわわわわわわわわわ!!!」

「きゃああああああああああ!!!」




「いやあ〜〜〜! 今日も魔獣狩りが楽しいなあ!

って、楽しくないよ!?

ひとりツッコミ聖魔剣スラ〜〜〜ッシュ!

暗黒っぽい、でかい虎を倒した!

はい! そしてお約束の!

痛い! 痛たたたたたたた!!! 骨盤が割れる!」


「てふてふぱうだ〜」

「すっきり!」


「黒々した暗黒な森をさまようこと、たぶん一年!

……俺ってさ……とっくに成人式終わっちゃったよね!?

なんでずっと森なの!? 誰かお祝いして!? 青春の四年半を返して!?」

「かえして〜」


「元々死んじゃったし、生きてるだけマシか……シクシク」

「てふてふが〜、おいわいする〜」


「ありがとう! てふてふさん!」


「マオ様……シャオも……お祝い申し上げ……ます」


「うわ! うれしい!

でもさ、シャオはいいんだよ!

起き上がらなくていいから! ゆっくり休んでて!」

「……くぅ〜……」


「また寝ちゃった……せめてシャオと話ができればいいんだけど。

この黒い森に落ちてからすぐ、こんなに小さくなって……ほとんどバッグの中で寝たままなんだよなあ」

「おやすみ〜」


「きゃああああああああ!!!」


「女性の悲鳴!? もしかして! はじめての人間!? てふてふ、行くぞ!」

「いくぞ〜」

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