二百五羽 ☆ リュリュエル、筋肉!
「別世界付近の次元に転移したんじゃ。
ここはの、よからぬ悪さを考える者どもを遠ざけるために、常に転移を繰り返すようにできておるんじゃが、お前たち運がよかったわい。
偶然、転移した先の狭間にただよっておったからの」
ぎぃやあぁ〜〜〜!
元の姿に戻りた〜い
やり直したいのじゃ〜
あのときの輝きを〜
球体の境界から聞こえてくる、なにやら怨嗟の声!
「悪霊除けの護符の効果がもう切れおった!
異世界中から集まったタチの悪い亡者どもが追いかけてきおったわい!
まったく歳は食いたくないもんじゃ。
ばあさんや、敵じゃ! 戦うぞい!」
「はいはい。たたきが食べたいんですね?
お夕飯の支度をすぐに……」
「た・た・か・い・じゃ!」
「アップルパイですか。食後のデザートにいいですねぇ」
「だいぶ語呂が悪いじゃろ!?」
「ベタベタ漫才が止まりません!
なんだか未練たらたら亡者の正体はエンジェリックア〜〜〜イ!
リッチキングやバンパイアロードなどなど!
危険で上位な不死者がたくさんです!」
「愛を忘れた存在がこんなにも! たとえ枯れても愛を取り戻してほしい!」
「善良なお年寄りは大事にしましょう!
エンジェ〜〜〜ルフラ……」
「リュリュエル! 愛があっても直接介入はだめだ!」
「え〜〜〜!」
「愛にかけてだめだ! エンジェルの誇りを持って愛の行動を!」
「は〜い。ボクのぷにぷにな小さなお胸にしまった、エンジェルの誇りを忘れちゃうところでした!
ラブエルのたぷんたぷんなお胸にはいっぱいつまってますね!」
「たぷ!? なひゃはうわぅおぅ、きゃう!
つ、つまって……ひゃうぅ!」
「今回はずいぶんと多いのう。
ばあさん! ほれ、悪霊退散棍棒! キンピカセッカン棒じゃ!」
「ごぼう? きんぴらですか?」
「漫才はいいから暴れるんじゃ! わしゃ、妖刀ショーテン丸で行く!」
「はいはい」
「痛っ! こら! やめんか!」
「ありゃ、まあ! あらあら!」
「お二人とも動きが遅すぎて、いろんな攻撃が見事に全部当てられてますよ?
ほんとに手を出しちゃダメです?」
「うむ! 見事によけれていない! しかし愛にかけて頑丈!」
「やれやれじゃ。ばあさん、筋肉に気合いじゃ!」
「はいはい」
「「スキル!」」
「<血湧き肉……」
「<血滴る肉汁が最上級に絶品な牛肉>!」
「ミディアムレアで食べたい! って、違うわ!
<血湧き肉躍る災害級に絶大な筋肉>じゃ!」
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