二百四羽 ☆ リュリュエル、狭間!

「わしゃ、アオニじゃ。こっちはわしの妻のアカニじゃ」

「はい? わしのつま? あたしゃ大根じゃないですよ」

「わしの嫁じゃ!」

「わしの米?」

「わしのおくさんじゃ!」

「わしのたくあん?」

「わしのばあさんじゃ!」

「わしのザーサイ?

どれもお米に合いますねぇ♪」

「メシの友の話じゃない! もういいわ!」


「こちら、ベタベタ夫婦漫才な鬼神のご夫婦に助けていただきました!」


「漫才はしとらん!

鬼神というても末席じゃったし、すでに神の序列からはずれとるし、冷凍睡眠を繰り返しながら寿命を伸ばしに伸ばして、もう万年も生きてしもうて、よぼよぼもいいとこ。

ポンコツじゃわい」

「濃厚豚骨ラーメン、おなかいっぱい食べたいですねぇ」


「豚骨スープはニポーンの宝じゃ!

じゃが、二人で半分こでは店に迷惑じゃし、もう行けんのう。

って、違うわ!

若いころのように飯も食えんし、歳も食いすぎてほぼ鬼人と変わらん。

ばあさん、だいぶボケおったし」


「ニポーンに行ったことがあるんですね!」

「若かったころはデートがてら、ばあさんとよう行ったわい」

「また乳バンドを買いに行きたいですねぇ」

「もう垂れ下がって必要ないじゃろ!?」


「若かったころニポーンに? 愛の万年では?

そんなご老体なのに、愛ある介抱に感謝する!

しかしここは? 愛の星空?」


「次元の狭間ですね! 偶然たまたまたどり着いたみたいです!

見てください!

星々に囲まれて、宙に浮く孤立したこの島と荘厳かつ和を感じる神殿を!

なんていう幻想的な光景でしょう!」


「確かに! 幻想的で愛らしく球体な空間がまるでスノードームだ!

周囲に透けて見えるのは愛の異世界か?」


「次元の狭間というても薄皮一枚だけじゃよ」

「にんにくたっぷり薄皮餃子がいっぱい食べたいですねぇ」

「サクサク羽にプリッと皮、にんにくが効いた……

しつこい食い物ばっかじゃな!

さっぱりしたものも食べたい!」


「それはともかくリュリュエル。

天界には愛があっても戻らない方がいいかもしれない。

いや、愛を裏切ってでも戻ってはいけない!」


「ふぇわ? 特に天界に行くつもりはありませんよ?

もう二回も昇級試験をすっぽかしてますからね!

ボクはずっと10級見習い天使です!」


「エンジェル懐中時計の愛も切っておくべきだ!」


「ん〜〜〜? ボクは……つけたことないです。

全部の機能を切っちゃってますよ?

ですが、なんでです?」


「神……天界には愛がないのかもしれない!」


ブイ〜〜〜ン


「周囲の景色が愛らしく変わった!?

これは愛!?」

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