百八十八羽 ☆ リュリュエル、白濁!

「なんだい、この匂いは!

クリーミィな香りではらがへるねぇ!」


「食材がこんなに! どこに隠してたんだい!」


「こいつはもらってくよ! 袋につめな!

さてと……じゃあこないだ言ったとおり、記念すべき一人目は……うまそうな一番下のチビをもらってこうかねぇ?」


「「「「いや〜!!!」」」」

「そんな! 貢ぎ物があれば、見逃すって言ってたのに!」


「気が変わったんだよ! ほら! おいで!」


「だめ!」

「いやだ!」

「やめてよ!」

「ひどいよっ!」

「お願い! 連れてかないで!!!」


「うるさいね!」

「痛い! ふぇ〜ん!」


(!!!)


「しりをはたいた程度でうるさいね!

全員、殺されたくなかったらおとなしくしな!」

「次は二人目だ! 食材を用意しとくんだね! そしたら見逃してやるかもねぇ?

ひゃははははは!」


「みんな〜! おしり痛い〜!」


ギィ、バタン!!!


「「「え〜ん!」」」

「サンクが! ごめんね! ごめんね!!!」


「……絶対に出ませんでした。

今度はワタシからお願いです。

絶対、家の外に出てこないでくださいね?」

「リュエルお姉ちゃん? どうするの!?」




吹き荒ぶ風雪の嵐

サンク様を抱えて歩く、雪のように白濁した二人


「待ちなさい」


「おしりのお姉ちゃん!」


「なんだい? ガキが追いかけてきたのかい?」

「黒い羽に輪。堕天使様じゃないか。

罰な堕天使様の代わりに新しく就任でもしたのかい?」


「……そんなところで〜〜〜す!

お二人は女の子しか生まれないという雪鬼さんですね。

その子をどうするつもりです?」


「こいつかい? もちろん、いただくのさ。

二人目は他の家からにしようか?

その方が楽しいかもしれないよ?」


「この職場、ブラックもいいとこでねぇ。

やっと余裕が出てきたとこさ。

楽しみはとっておこうと、ずっと我慢してたけど、もう待ちきれなくてねぇ」


「大人たちはいないみたいですが、どうしちゃったんです?」


「? 何を言ってるのかねぇ」

「シルバタイト鉱山でこき使ってるに決まってるじゃあないかい。

非力で役立たずなチビどもは荷物になるだけだからね、からかって遊んでたんだよ。つまらない仕事の手なぐさみにもってこいさね」


「極寒で食糧も燃え種も手に入らないチビどもをからかって遊ぶのは楽しいねぇ!」


「シルバタイト……希少な銀、虹彩輝銀のことですね……手なぐさみ」


「なんだい、さっきから。

エンジェルファクトリーに納めるために、魔族の一員としてあたしらがんばっているっていうのに。

堕天使様なのに知らないのかい?」


「「「「サンク!」」」」

「アンちゃん! ドゥ! トワ! キャト!

みんな助けてぇ!」

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