百八十六羽 ☆ リュリュエル、霊峰!
「ごはん〜〜〜」
「どうぞ〜〜〜」
「おいしいよ!」
「おしりいよ!」
「変なの混ざってない!?
冷えた体が温まるよ!
いっぱい食べてね! はい、あ〜ん」
「自分で食べれますよ?」
「病人はおとなしく、あ〜んだよ!
アンも熱出したときにお母さんにあ〜んしてもらってうれしかったんだよ!」
「!!! ……お母様のいいつけ……
アン様の言うことは聞かないとですね!」
「いい子! はい、あ〜ん」
「ぱく。むぐむぐ……おいしいです!」
「元気になったら弟さんのこと、探しに行かないとだね!」
「いえ。リュリュなら……居場所はわかってるから大丈夫です」
「そうなの?
はい! ぜ〜んぶ食べれました! いい子、いい子」
「ごちそうさまでした。
アン様、ありがとうございます。
皆さんは食べないんです?」
「ん〜〜〜〜〜〜」
「もうないの〜〜」
「それで最後〜〜」
「おしりかった?」
「おしりはもういいからね!?
もう食べるものないんだ。
でも気にしなくていいの!
五人で分け合うよりもリュエルに食べてもらえた方がいいんだ!」
「え…………」
ポロポロとほっぺに流れる雫
「泣いちゃったっ!?」
「泣かないで〜〜〜!」
「ぽろぽろ大粒だよ!」
「とっても、おしり?」
「どうしたの! おいしくなかった!?」
「ごめんなさい。みんなのごはん食べちゃって。こんなワタシにやさしくしてもらって……うれしかったの……
あの……黒い羽、怖くない?」
「うん! 最初はびっくりしたけど、怖くないよ!」
「「「「怖くない!」」」」
パチパチ
暖炉にバラした家具の木片をくべる子どもたち
「薪はないんです?」
「うん。このあたりは元々こんなに寒くなるなんてことないの。
あとで外に行ってみて。吹雪いてなければ霊峰シルバストが見れるから。
ここは観光地だったの。登山客とかで賑わってたんだよ!
でもね、何年か前からいろいろあって、おかしくなっちゃったんだ。
外は雪だらけで食べ物も薪も手に入りにくいの」
「そうなんですね……
それなのに、おいしいごはんをありがとうございます!
お礼にあったかほくほくホワイトシチューをごちそうしちゃいます!
エンジェ〜〜〜ルバッグ!」
「えええええええ!?」
「「「「わ〜!」」」」
包丁トントン!
お鍋コトコト!
隠し味はエンジェル印のマヨネーズ!
とろっとホワイトシチューのできあがり!
ぐらぐら!
「うわ! また揺れた! 熱っ!」
「ふぃわ!? 白いドロドロがお顔とぷにぷにお胸にかかってとろとろですぅ〜」
「ごめんね! 熱くない!? いまふくね!」
「あ……ん。あつあつですぅ〜。アン様のお顔にかかったドロドロもふきふきしますね」
「やん! こそばいよ!
あ、また揺れてる。最近、地面がよく揺れるの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます