百七十四羽 ☆ リュリュエル、憧れ!

「おトイレの場所は分かりませんが!

エンジェリックア〜〜〜イによると、異世界転生に巻き込まれた転移者!

やっぱり異世界転移の気配でしたね!

称号は<巻き込まれし性あふれる聖なる魂 いけにえの因果律>!

なんだか気になるワードです!

将来の夢と希望はおとなりのお兄ちゃんのお嫁さんになること!」


「な、ななな、なんで全部知ってるんです!?

転移ってどういうこと!? ここはどこなの! あなたは誰!」


「ここはニポーンでいうところのファンタジーな異世界!

ボクは10級見習い天使のリュリュエルで〜〜〜す!

者望ものもち 勇希ゆき様はボクの希望あふれる勇者様!

よろしくお願いします!」


「見習い天使!? ボクの勇者!?

待ってください…………

ちょっとだけ動揺しちゃったけど、わたしの優秀な頭脳ですべて理解できたと思います。

見習いってあたりが不安だけど、リュリュエル、よろしくお願いいたします。

異世界転生に巻き込まれたって、まさか……トラックにひかれたお兄ちゃんじゃ!?

ひろ兄ぃは!?」

「ひろ兄様ですか?」


「あ、ささきひろしっていうんです。名前はちょっとさえないですが……」

(全国のささきひろしさん! 本当にごめんなさい!)


「あ! でも芸名はかっこいいし、若手なのに人気急上昇中なダンサーなんですよ!

とってもかっこよくて!

その……あ、憧れのお兄ちゃんなんです!!!」


「清純清楚な感じの天才美少女小学生さんが憧れるお兄様!

もしかしなくてもマオ様のことですね!」


「マオ様!? お兄ちゃんのこと!? 知ってるの!?

異世界転生ってことは生まれ変わっちゃったんですか!?」


「ふぃわわわ!

そんなに強くつかまないでください〜。

それはともかく勇希様から感じる聖力の残り香。

なんだか身近で感じたような……

ん〜〜〜? なんでしょう?」


「訳のわからないこと言ってないで、ひろ兄ぃのところに連れてってください!」

「マオ様のところにですか? どこにいるかは知りませ〜ん」


「うそ! ほんとは知ってるんでしょう!?」


「ふぃわ! またまた力いっぱい!

ぶんぶんゆさゆさ! じゃじゃ馬感!」 


「じゃじゃ馬じゃないです!

……ごめんなさい。力いっぱいつかんじゃって……

どっちにしても、どこかにいるってことですよね!

だったら探しに行きます!

こんな変なところ、いますぐ脱出しましょう!

……あと、その……おトイレ行きたいです!」


「ん! とってもモジモジ恥ずかしそう! さすが清純乙女!」

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