百六十三羽 ☆ リュリュエル、幻魔!

獣剣と闇の拳を交える、イケもふマッチョなケモナと獣王将軍!


「ふわ!? ケモナが金鋼な拳に殴られまくってヒビと血だらけです!」

「獣王将軍はケモナが倒すもな! ここはまかせて先を行くもな!」


「ほんとに先に行っちゃっていいんです?」

「大丈夫ぽん!?」

「ここはケモナの出番もな!」


「ほんとにほんとですか?」

「ぽん丸も手伝うぽん!」

「ほんともな! まかせるもな!」


「ほんとにほんとにほんと〜に!

おまかせしてもいいんですか!?」

「ほんとに、おまかせしてもいいぽん?」

「ほんとのほんと〜〜〜もな!」


「お前ら……いかにも献身的なやりとりしてるフリして、でかいバンソーコーをいくつもくっつけるな!」


「バレちゃいました! てへぺろ!」

「てへぺろぽん!」


「おかげで元気もふもふもな!

今度こそ、まかせるもな!」


「絆創膏姿がかわいいですね!

ここはおまかせします!」

「まかせたぽん!」


「何度やっても同じことよ!

貴様、獣人の未来をうれいておったが、それも力無くばただの戯言。

人族ともども、滅びるがいい!」


「この世界も、どの世界も、生きる者はみんな尊い仲間もな!

ケモナは前世でたった一人、獣たちと苦しい時代を生き延びてきたからよくわかるもな!

獣と人の誇りにかけてそんなことはさせないもな!」





「ここが古代の墓所! なんて広い空間なのよ!

この禍々しい闇力! 聖なる王城の地下にこんなもんがあるなんて!」


「遅いのだ。シューティエル」

「遅いのだ〜」

「遅かったじゃねぇよ。四将軍が一人、幻魔将軍! それに闇霊将軍じゃねぇか!」


「うう、ラナをラルーナを……」

「黙れ、死にぞこないの王よ」


「何よ、こいつら!?」


「王をはじめとした第二継承権以下の王族だ。墓所の封印が解けないかと、念のため全員試したがどれもエラーで作動しない。血か、それとも継承された何かが薄いのだろう。

王よ、ここまできて言い逃れができようはずがないな? 聖王女が封印の鍵に相違あるまい? チミ、吐かせろ」


「スキル<繰り言で遊びたおす繰り糸マリオネット>なのだ〜!」


「……その通りだ。

生まれてまもなく先代王と王妃を失い、養子として迎えたラルーナはただ一人残された正統な王家の血筋、我ら分家はしょせん影。

伝承を知らぬ者たちの権力争いで命を落とさぬよう、平和な村に護衛とともに潜ませたのだ。

結果、このようなことに……」


「やはりか。チミ、もういい」

「なのだ! スキル解除なのだ〜」


「シューティエル。聖王女を墓所の中心、棺に寝かせろ」

「よせ! 魔王の封印を解くでない! 伝承通りであれば、お主ら魔族とてどうなるか!」


「問題ない。俺が真の魔王だ」

「なのだ〜!」


「なんと!?」

「なんだって!?」


「そしてこのチミも魔王である我が魂の一部なのだ」

「なのだ〜! って、ええ!? チミちゃんも!?」


「幻魔将軍と闇霊将軍が魔王!? どういうことよ!」

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