百六十羽 ☆ リュリュエル、夢!

「もちろんです! ボクの愛で命を吹きこんじゃいます!」


「いいだろう! 持っていくがよい!」


「貴様ら、戦闘そっちのけで盛り上がるな!

傀儡将軍、号泣するな!」


「ありがとうございま〜〜〜す!!!

それじゃあ、さっそく!

さあ! みんなには見えていない頭の上のたぬきさん!

このからくりオートマタに入っちゃってください!」


コクン!

うなずくたぬきさんの魂!


「ええい! 面妖な人形など滅してくれる!

俺の右腕に宿る隠された力を喰らえ!

地獄の業火!」


「輪廻の輪からはずれた無垢なる魂よ!

情熱あふれる愛の器に、新たな命として宿りたまえ!

エンジェ〜〜〜ル! リ〜ンカ〜ネ〜ション!!!」


降り注ぐ光のシャワーが地獄の業火をかき消して!

たぬきさんの魂がからくりオートマタに!


「からくり憑依な異世界転生が大成功です!

全なる父よ! さあ! かわいいたぬきなお面を頭にどうぞ!」


「リュリュエル、この非常事態に何やってるんだ!?

でやああああああ!」

「貴様ら自由がすぎる!

おのれ! 勇者か雑兵か知らんが邪魔だてするな!」


「俺が雑兵!?」


「たぬきなおいらを助けてくれてありがとうぽん!

おいら、天使様が大好き!」


「天使様じゃなくて、リュリュエルでいいですよ!」

「あい! リュリュエルぽん!」


「おおおおおお!!!

不完全な人工頭脳だというのに、自然な言葉でやりとりを!

吾輩のからくりオートマタに命が! 人形師にとってこれ以上の夢があろうか!

!!! もしやこれなら! ちょっといじらせろ!」


「パパ? おいらのおっぱい、さわるぽん?」


「いや、まあ……吾輩、パパ!?

顔を赤らめておるし! なんとよろこばしい!

どうあっても起動しなかったこの人工心臓、心理同調勇愛ドキワク真素吸収動力炉に交換してやろう!」


パカッ!

カチャカチャ!

パタン!

ドキドキ鼓動音!


「胸があたたかいぽん……心がぬくぬくぽん。

パパありがとう!」


「おおう! 稼働したではないか!

この動力炉は世界を形造る因子を吸収して無限に動力を生み出すもの!

吾輩の科学力ではその因子までは解明できなんだが……

くう! 涙が止まらん!」


「念願叶った職人さんのうれし泣きですね!」


「ええい! 傀儡将軍、いいかげんにしろ!

貴様、魔王が四将軍としての生き様を忘れたか!」


「パパ?」


「そうじゃった……。

吾輩! 魔王軍、四将軍が一人! 傀儡将軍なり!

この世に混沌を生み出すが我が使命!

勇者どもよ覚悟せい!」


「<一刀両断飛翔追撃斬>!

でやあああああああああ!!!」


「我が子は斬らせん!」

「パパ!? だめ〜!!!」

「ぐあああああああああ!??」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る