百五十六羽 ☆ リュリュエル、敵襲!

「リュ……リュリュ……リュエル……リュリュエル!? どうしたの!?」

「はい? ボク、どうかしました?」


ケモナナナナ! ケモナナナナ!


「ケモナのエンジェル懐中時計にアラームもな!」

「アラーム!? きっと大変なことが起こってる!

もう! あれこれ忙しい! 行くわよ!」


「え〜! たぬきさんは〜!?」


「転生の儀式しちゃったじゃない!

なきがらは現地の人にまかせて、魂を一緒に連れていけばいいでしょ!」

「そうですね! たぬきさん、ボクの頭にしっかりつかまっていてくださいね!」




「ユウ! 踏み込みが甘い! それでは殺してくれと言っているようなものだ!」

「わかった!」


「獣人忍法!」

「「にゃんこの影々くない!」」

「! でやあ!!!」


「「よく防いだにゃ!」」

「背後からの」

「攻撃への対処が」

「「うまくなったにゃ!」」


「へへ!」

「ふぃわわわ! 騎士隊だけでは得られない訓練ですね!

ミャウさん、ミュウさん! ありがとうございまっす!」

「「寝床とごはんのお礼にゃ!」」


「お・や・じ! 話し方!」

「おっといけない、リュリュエル弁が」


「でもにゃ」

「目で追ってるだけじゃ」

「「ダメにゃ!」」

「獣忍は」

「殺気や気配を感じて」

「「心の眼で戦うにゃん!」」


「心の眼? なんだそれ?」


「そろそろ夕刻か。今日は珍しくラルーナ聖王女の迎えが遅いな……。

まったく……内々とはいえ第一王位継承権放棄の宣言までして、ユウと婚約するなんて言い出すし。

平民暮らしが長いせいか、なじむのがうまくて騎士や兵士たちにも大人気だし。

そのくせ、いざってときになると、今は亡き前王と前王妃様を思い起こさせる威厳がしっかりあるし。

お義父様なんて呼ばれて……パパ、困っちゃいますぅ〜!」

「親父!」



「きゃああああああああ!!!」

「この悲鳴は!? ラナ!?」


カンカンカンカン!

城中に響きわたる鐘の音!


「「にゃんにゃ!?」」


衛士「敵襲~! 魔王軍来襲!!!」


「ユウ! 行くぞ!」

「ああ!」


「ミャウと!」

「ミュウも!」

「「手伝うにゃ!」」




「ふん! 四将軍が一人、獣王将軍に狐ごとき獣忍がかなうとでも思ったか!」


気絶したラナ様を抱える獣王将軍!


「うう、ラナ様! わたくし、やられてばかりで申し訳が! ……がく!」


「ラナ!?」

「クノ!」

「「黒獅子の獣人! とっても強そうにゃ! しゃ~~~!!!」」


「シューティエル! 聖王女は我が手に!」


「あははははは! 獣王将軍、よくやった!

計画通り、城の地下深くに隠された墓所に聖王女をつれていくよ!」

「承知!」


「ラナが連れていかれる! 親父!」

「わかってる! ですが、前を見てください! なんてことでしょう!」

「だから! リュリュエル弁!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る