百五十三羽 ☆ リュリュエル、駄肉!

「うるさいのう! 温泉では静かにせい!」


「「ごめんなさい!」」

「なんじゃ、フィスエルとシューティエルではないか。久しいの?」


「ぬわ!? 女神!?」

「駄肉女神様!?」

「我の乳は芸術じゃ!!! お主までひどいがすぎんか!?」


「ごめんなさ〜い! 女神様ってば、なんでこんなとこにいるの?」

「肩こりがひどいでの、乳バンドを調達がてら温泉で保養じゃ。

やはり、この国のあれこれは良いのお。

品質は良い上に、財布にもやさしくていうことなしじゃ」


「「……たぷんたぷんね(だ)」」

「スタイル勝負はやめときましょ」

「だな」

(湯けむりや岩で我らの大事なところは見えんからの?)


「こちらに戻る気はないかのう、シューティエル?」

「ねぇよ! 誰が戻るか!」




「くは! まさに天国! いや地獄!

あ〜。ぬくまる〜〜〜」

(大事なところは湯気と岩で見えんぞ!)


「ヤミエル、こんにちわ!」

「でたらめ天……でたらめ! 貴様、温泉にまで追いかけてきたのか!?」


「先に温泉に入ってたのはボクですよ?」

「ぬ? すまん」

「素直!」


「じゃかましい! 貴様、タオルを巻いたまま入るのはマナー違反だろう!」

「だって、恥ずかしいんです〜」


「ヤミエルこそお風呂場まで眼帯なんです?」


「漆黒の眼帯は封印。ゆえに宿命!」


肩を並べて、ちゃぷん


「………………貴様に……聞きたいことがある」


「なんですか?」

「……あれほどの過去、記憶。

貴様は一体どうして、そんなにニコニコしていられる!?」


「ん〜〜〜? ボク、知っりませ〜〜〜ん」

「白々しいことを! 二度も俺の心とリンクしたからには、封印された記憶のひとかけらでも思い起こしたはず」

「ほんとに覚えてませ〜ん」


「そういうことにしておいてやろう。

……貴様ら……あれだけのことがあってなお……そうやって、ふわふわしてられるというのか……。

くらべれば俺の記憶なぞ……世界に混沌だの恐怖だの……ただの愚か者ではないか……くそ!」


「そんなことないですよ? ヤミエル?

と〜〜〜っても! つらかったんですよね?」


「ふ。さては貴様、封印された俺の記憶にまで干渉したな?」


「だから、ボクは知りませ〜ん。

いっそのこと悪いことぜ〜んぶ、やめちゃいませんか?」

「!!! …………しかし、俺は!」


「はいこれ。天使な仲良し人形をプレゼントです」

「これは……」


「裸のお付き合いもしちゃったことですし。

ヤミエル、よかったらボクたち、お友だちになっちゃいます?」


「友だと!? ふ! ライバルと書いて友!

共有する秘密!

くはははははは!

よかろう! 貴様の友として……」


湯治ないかついおじさま「さっきからやかましい! 風呂は静かに入れ!」


「「ごめんなさい!」」

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