百四十六羽 ☆ リュリュエル、魅了!

「ん〜〜〜。和解ですか?

そのピアスと空の鐘。それで人魚さんや騎士様たち、王様さんたちや他の皆さんも操作してるんですよね?」


「その通りでございます。

わたしは鐘。

月日をかけてゆっくりじっくりしつこく。

魅了の音色で、多少のことでは解けない支配をさせていただいております。

そこの天使様お二人もわたしの音色のとりこになっていただきたかったのですが、時間も短く、なかなかレジストも高く。

あなたはかなりあっさりとでしたね。

わたしとわたしの一部に好意をお持ちいただけていると、うぬぼれても?」


「え〜! そんなこと聞いちゃうんですか?

お・と・め・の! 秘密で〜す!

それで? この戦はどうするんです? 皆さんを解放してもらってもいいです?」


「戦は継続させていただきます。死者の魂を集めるのもお仕事の一つですので。

和解の献上品はおやすみになっている天使様お二人を見逃す、ということではいかがでしょう?」


「どっちもほしいで〜〜〜す!」


「あまりバトルは得意ではありませんが、やはり力づく。

殺し合いという商談であなた様の全身を感じることといたしましょう!」


「リュリュの大事なものは、ワタシの大事な宝物。

手を出したこと、絶対に許さない!」


「ああ! ミステリアスな瞳が美しい!

リュリュとは?」

「……」


「沈黙ですか?

では……黒き天使様を全身で感じるために!

我が手に来れ! 魅了の鐘の音! 死を誘う魅了の錫杖しゃくじょう!」


錫杖の先端にすずなりな鐘!

反対には鋭く尖った槍!

リィンリィンリィンと甘美な音色が、甘々しくしつこく鳴り響きます!


「くぅん♡ ……あんまりしつこいお誘いは嫌われちゃいますよ?

どんな攻撃も! 愛のメロメロで腰砕け!

エンジェルラブラブラブリンシャワー!」


錫杖を回転させてハートを弾くベル様!


「かわいいハートなポーズがかわいいでっす!

自分で言っちゃいました! てへぺろ!」


「さらにミステリアスなお姿が美しい!

ああ! もう我慢できません! わたしの一部がビンビンにとろける!

ですが、あたりかまわずハートを撒き散らさないでいただきたい。

その聖技は愛の天使様のものではないですか?」

「ん〜。覚えちゃってました!」


「やはり不可解極まりない。では……」


音速を超える突きの連続!

洗練された杖術で振り回される錫杖!

フィスエルの体術トレースでさばきます!


「きゃあああああ!

じゃない、ふぃわわわ!」


錫杖がひっかかって、大きくめくれあがる小悪魔ドレス!

ばさっと裾を押さえます!


「おお! 上まで包み隠さず! これはラッキー!

わたしがご用意したレースで黒なきわどいランジェリーで、わたしの一部がカチカチ!

これは失礼しました!」


「(真っ赤)…………パタパタ、ホコリを払ってと……絶対、許さない!」


音速を超える突きの連続!

洗練された杖術で振り回される錫杖!

弱体化したはずの甘美な音色が耳にけたたましい!


「うるさいです!」

「わたしのカチカチでとろとろな一部をその身で受けとってください!

ソニックチャームスティンガー!」


魅了の音色とともに!

くるくる回転する必殺の槍の一撃!

小悪魔ドレスを突き破って!


「くぅ〜〜〜〜〜ん。あんまりいじわるしないでほしいです〜〜〜」

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