百四十一羽 ☆ リュリュエル、魅惑!

「ふわっとピュア、それでいてミステリアスな神々しさ。

わたしの一部をゆさぶるその魅力。

ああ! 天使様! あなた様を全身で感じたい!

そして、わたしを全身で感じてほしい!

……よろしければ、わたくしと一曲、踊っていただけないでしょうか?」


「一部ってどこよ!? なんか急にキモ!

オンオフ激しい系!?

ご指名だけどどうする、リュリュエル」

「ふぃわ!? ボクですか!?」


「ふわっと天使な女の子は、あんたしかいないでしょうが。

ダンスのお誘いを受けるのも礼儀のひとつよ。

ちょっとキモいけど、せっかくのイケメンじゃない。踊ってくれば?」


「わたしの手をとってはくださいませんか?」


リィンと鳴り響く、甘美を感じる音色。


「ふわ? え〜と……はい、そうですね。ぽっ」



「エスコートされてる様子が、すっかり女の子ね」

「リュリュエルをとられてよかったのか?

愛に目覚めたフィスエル?」


「な!? べ、べべべ、別に目覚めてなんかないわよ!?

いいに決まってるじゃない!」


「では、フィスエル。

かわいいドレス姿に戻って、俺と一曲、踊っていただけないだろうか!

リュリュエル!」

「は〜い。全なる父よ!」


「あら! すっごい素敵じゃない、ラブエル!

さっきと全然違う! 露出高めでクール系デザインなドレスがかわいい!

でも、都合がよすぎる!」


「ろしゅ!? なひゃはうわぅおぅ、きゃう!

にゃ、にゃんで!? わたし!? こんな、ひゃ、ひゃずかしいぃ〜〜〜!」

「気絶しなくてえらいわね!

さ! 踊りましょう! やさしくリードするわよ!」

「ひゃ、ひゃい!」


ダンスホールに舞うカップルたち。

思い思いの場所で愛をささやきあうカップルたち。

危険な戦におもむく貴族や騎士たちに恋焦がれる令嬢たち。

もしかしたら命を落とすやもしれないという想いを胸に。

それぞれの恋と愛が、戦を前に最高潮!


「なによ、リュリュエル。あのキモ眼鏡イケメンにリードされて、楽しそうに踊っちゃってさ」

「や、やきもちゅ……や、ややや、やいてるの?」


「やきもちじゃない!

何を話してるのか、気になるだけよ!」

「ね、ねえ、フィス。……ほ、ほんとはリュリュエルのこと、あ、あい、あい、愛して……ひゃううぅ」

「ひゃわ!? そ、そそそ、そんなひゃわ! ……ふん!」



「天使様、左右で瞳の輝きが違うのですね。

左眼からは、ピュアでイノセントなきらめきを。

右眼からは、謎めいてミステリアスな魅惑を感じます。

ピュアで謎なあなたが美しい。

このベル、あなたから目を離すことができません」


「美しいなんて照れちゃいますぅ〜。きゃっ♡」


「戦には行かれるのですか?」

「は〜い」


「戦になど、行かれなくとも!

よろしければ、私の屋敷で戦が終わるまで待たれてはいかがでしょうか」


リィンリィンと鳴り響く、甘美を強く強く感じる音色。


「は……い」


「おお! とろけそうな瞳が美しい! わたしの一部も! ああ! とろけてしまいそうです!

では、のちほどお迎えにあがります。

すばらしいひととき! 全身で感じることができました! 心よりありがとうございます。

お迎えの準備をいたしますので、失礼させていただきます」

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