百三十九羽 ☆ リュリュエル、変身!

「はあっ! 三曲とも激しかった〜!

何あれ? なんであんなにうまいの?

そういえば、昇級試験のときにキレッキレのダンス踊ってたことあったけど。

あいつ……前世でダンスをマスターしてたなんてことあるのかしら?

でも前世を思い出したそぶりもないし、何にも知らないはずよね?

わたしみたいに、もしかして王族? 王子様とか? ないないないない!

リュリュエルの前世ってどんなのかしら?

気になる……ダメダメ! 天使の前世を詮索するのはルール違反なんだから!」



「さあ! フィスエル! 交代です!」

「あれ? もう一曲終わったの?」

「三曲、終わりました!」


「え!? もう!? そんなに自分の世界に浸ってたのわたし!?

ラブエル、女の子ムーブ楽しい? 言うこときいてよかったでしょ?」

「ひゃ、ひゃい……楽し……い……けど」


「ラブエルの踊りは魅惑的で、貴族さんたちの視線が熱々でした!」

「ほんと! 乙女な感じで恥ずかしがっているラブエルも綺麗でかわいいわね。

さすが絶世の美少女!」


「きれ!? なひゃはうわぅおぅ、きゃう!

んひゃわわ、わわわわたし、そんにゃにきゃわいくにゃんて〜!」


「恥ずかしがりすぎて、転んだ上にいろいろ丸見えになっていたところが、特に激アツでした!

はあはあ、言っちゃってましたよね!」


「きゅう……」


「まる見え!? はあはあ!?

あらまあ。いちいち気絶しなくてもいいのに。

で、交代って? また、わたしと踊る?」


「はい! ですが、趣向を変えましょう! ふっふふ〜!」

「なにその怪しい笑みは?」


「全なる父よ! ボクたちの衣を反転してください!」

「反転?」


とある世界の、まるで魔法な少女の変身シーン!


「わたし、男装になってる! ラブエルも!

ラブエルは、ほぼいつもどおりだけど」


「愛の俺! この姿こそ愛の天使ラブエルの愛にあふれる姿! ああ! 愛!」


「ラブエル、元に戻って本調子。あいあい、暑苦しいわ!

それよりもなんだけど!

リュリュエルがかわいい! わたしが着てたドレスよりもかわいい!

ヘアスタイルもなんてかわいくて上品で素敵なの!?」


「そんなにかわいいって言われたら、照れちゃいます〜〜〜!!! きゃっ♡

フィスエルも男の子な礼装が、とってもかわいくてかっこよくて素敵です!」

「ひゃわ!? わたしがかっこいい!?」


「女の子なボクがダンスにお誘いするのはマナー的にダメダメなので!

ボクっ娘お姫様な今のボクを、フィスエルから誘っていただけませんか?」


「ドキーン!!!」

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