百三十六羽 ☆ リュリュエル、混迷!

騎士「リュリュエルじゃないか!

貴族たちにチヤホヤされるあまり、あの二人ならすっかりなまけぐせがついて、見ての通りだ。

俺のこと散々に役立たずって言ったくせに! シクシク!

だが見てろ!

今に逆転して、海側合同軍を俺たちの支配下に置いてみせる!

その勢いで、俺たち<魔物を愛する神の勇者サーカス団>、略して<まあいっかサーカス団>がこの世界を支配してみせる!」


「ほら! こっちもおかしい!」

「ガルルゥ〜…………」

「ドラゴンさん?」




「結局、今回の大戦争は海側合同軍の大勝利。

諸国連合軍は撤退。幸い魔物たちのおかげで戦死者は少なかったけど」


「しかもだ!

諸国連合軍を統率する、ここナンバワン王国の都が、海水を伴う大軍に包囲されつつある!

もはや愛のない海水攻め!」


「人魚さんたちもサーカス団長な騎士様たちもどうしちゃったんでしょう?」


「あっちもこっちも支配だの覇道だの。

似たようなこと言ってたでしょ?」


「愛にかけて、なぜ!?

愛の混迷を極める! やはり、ヤミエルの洗脳が!?」


「散々、探したけどヤミエルの気配はなかったじゃない」


でっぷり魔法使い「これ食えよ! うめえぞ! バクバク!」

むっちりな武闘家「待ちな! それはわたしの! もぐもぐ!」

たくさんのミニマム魔物たち「モグ! ムグ! ウマウマ!」


「あれだけストイックだったはずなのに、見る影もない……武闘家ちゃんは欲求がレベルMAX、ある意味変わってないわ」


「ちっちゃい魔物さんたちかわいいですね!」


「騎士くんたちだけじゃない。海側合同軍に包囲されつつあるってのに、王様も貴族たちも変な熱にでも浮かされてるみたい」


僧侶「天使様! なんでこんなになっちゃったんですか!?

みんなまるで考えてることが変わっちゃってます!

わたし! とっても怖いです!」


「ピエロな感じのドレスが素敵だ!

キミに不安な眼差しは似合わない! 愛にかけてこの状況を打開しよう! ドン!

愛がこぼれ落ちそうなぱっちりキュートな瞳に乾杯!」

「ラブエル様♡」


「壁があるからって、ここぞとばかりに僧侶ちゃんを壁に誘い込んで壁ドンするな!

ワイングラス二つ持って、口説くな!」

「礼装がまるで男装の麗人! ラブエル、かわかっこよく似合いすぎですね!」


「僧侶ちゃんだけ、なんで大丈夫なのかしらね? 何か特別なことでもしてる?」

「いえ、特に何も。今まで通りの毎日。神様に天使様にとお祈り申し上げております」

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