百三十五羽 ☆ リュリュエル、覇道!
「ふぅわ! マリン姫が手にしているのは、ボクの秘宝じゃないですか!」
「あんたのじゃないわ!」
「はい! 人魚の王族に継承される秘宝<海荒れる 凪そよぐ 調べ>です!
わたしたちが近隣諸国を支配するために、海のエネルギーをどっぷりたっぷり運んできました!」
「さすがわたしのマリン姫! どっぷり愛してる!
この大波とともに、この戦争に勝利して我々のどっぷりな覇道をゆこう!」
「わたしのねっぷり緊縛王子様〜♡」
「人魚さん、すっかり緊縛に目覚めちゃってますね!」
「注目するところ、そこ!?
まあ、確かにそうなんだけど、そうじゃなくて!
あのマリン姫よ!?
争いを止めるためにわたしたちと、うっかり海水浴に熱中しちゃった純情……じゃないか。あのマリン姫よ!
おかしいと思わない!?」
ブオ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
「ふぃわ!? ボクが秘宝を吹きたかったのに〜!」
「だ・か・ら! もう! あ〜あ、また吹いちゃった!」
「大平原が波で大荒れ! 軍隊を飲み込んでめちゃくちゃだ! 愛のかけらもない!」
「人魚姫がはあはあ、あえいで悩ましそうにめちゃ疲れてる。何度も使えないみたいなのがせめてもの救いね」
上空に移動!
「騎士くんがテイムしている海の魔物たちがいるからなんとかなってるけど、秘宝の力を利用した人魚とウミベーノ王国の統率がとれた動きが圧倒的。
数的に不利なはずのマリン姫率いる海側合同軍は、気持ち悪いくらいに士気が高すぎ!
対して、諸国連合軍は圧倒的に数が多いのにだいぶ劣勢、人族はもちろん、まあいっかな魔物たちもなんだか精彩にかけるわね」
「海側合同軍の皆さん、なんだかとっても目が怪しく光ってますね!」
「あんたが人魚姫と王子に授けたスキル<無限に響ゆく幻惑の愛歌>のせいだと思うけど!?
幻惑っていうだけあって精神支配系のスキルよね? もしかしてスキル使用者本人にも?」
「まさに諸刃の剣!
だが、深海都市での戦ではスキルの効果は本人にかかることはなかった!
支配だの覇道だの、今のあの二人は明らかにおかしい!
愛はときに狂気を生むのか!?」
「騎士くん! 戦況はどうかしら?」
騎士「あの海水がどうにもならんな。
それとな……魔法使いと武闘家がほとんど役にたたんのだ!」
「軽業師な武闘家様がむっちり! 奇術師な魔法使い様はでっぷり! はあはあ、ふうふう言っちゃってますね!
道化師な僧侶様お一人、前線で魔物さんの背中に乗って、回復に支援に大奮闘です!」
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