九十八羽 ☆ リュリュエル、倒木!

「大森林フォレバストに、とってもおっきすぎる樹が倒れちゃってますね!」

「あんたのせいじゃなかったっけ!?」


「はううううぅぅぅ」

「シャオ! そんなに悲しまないで!

せめて、その悲しみを分けてもらえるといいんだけど」


「マオ様、とってもピッタリ、シャオ様にくっついてやさしいですね?」

「こんなに悲しんでるんだから、あたりまえだろ!?」


「せ〜まちゃんがプリプリですよ?」


「どうしたの? せ〜まちゃん?

へにゃっとふにゃふにゃになっちゃってる!?

せ〜まちゃん、すっごいがんばったね!

急に大きくなったから、びっくりしちゃったんだよな!

よしよしよしよし、いい子いい子♡」


「怒ってる理由が違うんじゃないかしら?」


「剣なのにやきもちな想いが重たい!

漆黒なのに真っ赤でプンプン聖魔な剣の勇者様、ここに爆誕!」

「剣なのに勇者認定ってどういうことよ!?」



「う、うう……くっ! まさかあたしがやられるなんて!?

だがしかし! 我が肉弾魔軍がやってくれたはず!

は! ……あはははははははははははは!

天宙世界樹が倒れてる! よくぞ、よくぞやってくれた!

しかし、我が魔軍の姿がほとんど見えない? どこに行った?」


「あら、あばずれ。

勘違いしないで。このめちゃくちゃは、ここにいるはちゃめちゃ天使がやらかしたのよ。

魔族魔物の軍勢なら、都合よく世界樹に押しつぶされてほぼ全滅したわ。残党も逃げたわよ」


「は? 都合よく全滅? 天使が? なんで?」

「わたしも信じられないわ」


「ま、まあいい! よくわからんが目的は果たした!

拳の! この借りは必ず返す!

さらばだ! フォーリンエンジェルゲート!」


「ふん! いつでもきなさいよ! 返り討ちにしてやるわ!

って、デモンズゲート、残したまま行っちゃったわよ!?」


「何はともあれ! 圧倒的な大勝利です!」

「大勝利ってあんたね! どうすんのよ、世界樹、倒しちゃって!?

この世界ってめちゃくちゃ、やばいんじゃないの!?」


「はうぅぅぅぅぅ」

「シャオ!? 泣かないで!? キミの涙を晴らしてあげたい!」

「マオ様…… はうぅぅぅぅぅ」

「ねえ! なんとかならないの!?」

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