百十羽 ☆ リュリュエル、激怒!

「ふぇわわわ! なんだかとっても気分が悪いです!

枕が変わって、あんまりよく眠れなかったみたいな?

でもここは赤ちゃんさんのためにがんばりますよ!」


「枕!? それだけ!?

くっ! ぐふは!? またしても何だこの記憶は!? こ、心が折れる!?

はあはあ! 俺の方がダメージを受けているだと!?

俺の過去がくだらなく思えるほどに!

でたらめ天使! 貴様は一体、何なんだ!?」


「なんだかふらついてますね? 快眠羽毛な枕をおすすめしちゃいますよ?」

「寝不足な心配はいらん!」


「ところで赤ちゃんさんがいるのに、ヒタキお姉様はどうしたんです? 見あたりませんね?」


「くく……くはははははははははははは!

地に落ちたあの槍を見よ! あの鳥女ならフカスシの腹の中よ!」


「ふえ? ヒタキお姉様は赤ちゃんさんのお母様ですよ?」

「くはは! その赤子も母の元へと連れて行ってやろう!」


「……食べちゃったんですか?」

「だからそう言っている!」




「雷鳴轟かす雷の精霊よ! 槍に宿りて斬り裂く雷の刃となせ!

雷来刃雷らいらいじんらい! トーリ!」

「ビリビリ来た! ニィワ、サンキュ!

コッコー流槍術! 雷槍閃牙らいそうせんが!」


トーリ様の攻撃が、いくつもある複眼の一つを奪う!

決死の覚悟で戦う二人に襲いかかるフカスシ!

巨体にもかかわらず!

疾風がごとく空を舞ってのシャーク・ザ・アイシクル・テイルアタック!


「うわああああああ!?」

「きゃああああああ!?」


高い上空から! 羽を散らして、ドスンと地面に叩きつけられる二人!


「うう、ニィワ、無事か!? !!!……気を失ってる!

体が動かない!? ……動け、脚! 羽を広げろ! 動け! 動けよ! ちくしょう!!!

せめて……最後に、手を!!!」



「見るがいい! 地に落ちた槍! 愚かなひよこどもの姿を! 心も体も羽も!

くはは! ボロボロになっているではないか!

覚悟しろ! 貴様ら全員、フカスシのエサとなるのだ!」


「お母様……死んじゃった……」


「お母様……くっ!? でたらめ天使の記憶が俺の心を惑わす!?

いや、惑わされるな……俺は……俺を裏切った世界に混沌を……

くははははははは!

ボロボロとあふれる涙を流しおって! さぞ悔しかろう!

絶望に悶えるといい、でたらめ天使!

フカスシよ! まずは死にぞこないのひよこ二羽を喰らうのだ!」


きっしゃあああああああああ!!!


「……げきに……おこです!!!」


「なんだと!? 何だお前のその右眼は!? まさか右眼の封印!? なぜ漆黒の闇があふれ出している!?」

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