百七羽 ☆ リュリュエル、餌食!
「トーリ! ニィワ!」
「ん? 誰かこっちに飛んでくる。あれって、ヒタキ姉ぇか?」
「ヒタキお姉ちゃんだよ! 赤ちゃん、抱っこしてる! 生まれたんだ!」
「でも、なんか様子がおかしくないか?」
「二人とも無事でよかったわ!」
「無事ってどうしたんだよ、ヒタキ姉ぇ?」
「赤ちゃん、生まれたんだね! おめでとう!」
「ありがとう! でも今はそんなことを言ってる場合じゃないの!」
「ええ? どういうことだよ?」
「みんなが! みんながやられてしまったのよ!
わたしと赤ちゃんを逃すために! あなたたちを守るために!
生き残っているのはわたしたちだけなのよ!」
「やられたって!? 誰に!?」
「あなたたち二人の両親を殺した、空の化け物よ!!!」
きっしゃああああああ!
大空に轟く、恐怖を感じる叫び声!
「何あれ!?」
「でかい! でかすぎる! なんて大きさだよ!」
「吹雪く寒獄スカイシャークよ! まさか遺跡の奥底に施されていた封印が破れられるなんて!」
「あれが!? 俺たち両親の……いや、みんなの仇! 戦うぞ!」
「ダメよ! 今すぐ遺跡のダンジョンに逃げるのよ!」
「でも、ヒタキお姉ちゃん! ……ダンジョン崩れちゃったの! どうしよう!?」
「入り口が!? なんてこと!? これじゃ逃げ場が!?
……わたしがおとりになる! この子をよろしく! あなたたちは逃げて!」
「出産したばかりじゃない!? 戦うなんて無茶だよ!」
「おとりなら俺が!」
「子どもが何言ってるの!
神槍のワルキューレと称されるわたしに任せなさい!
いやあああああ!!!」
槍を突き出すも! 凍る冷気に体が硬直! 翼人の素早さをはるかに超える素早さでばくんとひと呑み!
槍が宙を舞う!
「うそ……お姉ちゃんが食べられちゃった!!!」
「全然、動けてないじゃんか! ちくしょう!」
「くはははははははははははは!
まもなく、遺跡に封印された古代兵器はこの俺のもの!」
「誰だお前!?」
「黒い翼だよ! カラス!?」
「ぶふ!? カラスじゃないわ!!!
黒い輪っかを見ろ! 堕天使だ!」
「堕天使だって!?」
「トーリ、怖いよ!」
「翼人がまだ残っていようとは。ひよこが二羽と赤子……一羽寝てるのか?
俺はどんな暗い夜よりも濃い闇に包まれた、漆黒の翼!
フォーリンエンジェルのヤミエルだ!」
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