百一羽 ☆ リュリュエル、無害!

「こら! 弱いものいじめをしちゃダメでしょ!」


ごっつん!!!


「痛った〜!」

「ヒタキお姉ちゃん!」

「なんでゲンコツするんだよ!」


「ふぅわ! お色気ムンムン!

まるで戦乙女! ワルキューレな翼人のお姉様登場!

布面積少なめのなかなかの衣です!」


「ムンムンって初対面の相手になかなかなこと言うわね、この子。

わたしたち翼人は、成人したら風の影響を受けにくい服を着るのは知ってるでしょ?」


「お胸も大きいですけど、おなかもぽっこり大きいですね?」


「ヒタキ姉ぇ! なんでこんなとこまで来てるんだよ!」

「ヒタキお姉ちゃん、戦装束なんて着て、槍なんか持ってる!

赤ちゃんもうすぐ生まれるのに危ないよ!」


「大丈夫よ。元気だし、鈍感だし。産まれる前に気合いよ! 気合い!」

「鈍感て自分で言う? さすが脳筋」


「ふぅわ! 赤ちゃんですか! 妊婦さん、はじめて見ました!

とっても幸せですね!」


「あら! ふふ、ありがとうね。

トーリ、こんな無害そうな子相手に、何イキってたの?」


「だって! 俺とニィワは遺跡外縁の見回り当番だからだよ!

一人でこんなとこにいるなんて怪しさ爆発だろ!

俺の予感は……当たるんだ!」


「ヒタキお姉ちゃん。この子、見たことないよね?」


「他の集落からやってきたのかしら?」

「なんだかいろいろあって、ここにきちゃいました!」


「迷子? とりあえず、わたしたちの村にいらっしゃい」

「ええ!? こんな怪しいやつ、連れて行っていいのかよ!?」

「いい子じゃない。それとも、またゲンコツ欲しい?」

「いらない!」



「ふぅわあああああ!

たくさんの樹木にツリーハウスなお家に吊り橋!

向こうの崖には滝が流れて、虹がきれい!

とってもナチュラルな翼人さんたちのお住まいですね!」


肉屋翼人「よう、トーリ! またなんか悪さしなかったか!

ほら! フライドチキン、もってけ!」

「うるさいなあ、もう! チキンは食べる!」


道具屋翼人「ニィワちゃん、トーリの面倒、いっつも大変ね。

たまには放っておいて遊びにおいでなさいな。

自家肥料で育てた薬草あげるからお使いなさい」

「ありがとう! でもトーリと一緒にいるね!」


雑貨屋翼人「ヒタキちゃん! 今日、明日にでも出産だろうにあんまり無理するんじゃないよ! 戦装束なんて着て! ほら、あったか羽毛のブランケット持ってきな! 体、冷やさないようにね!」

「元気だけが取り柄だから大丈夫よ!」


「共食いしちゃってます!」

「「「しちゃってない!!!」」」

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