八十四羽 ☆ リュリュエル、大樹!

「女の子なリュリュエルがやさしくない!

でも、叱られるのがうれしい〜!」


「スキル<精神力増強>を神様からもらってるのに……よっぽどなんですね!」


「おっと、いけない!

戦った後の感謝の気持ちを、せ〜まちゃんに伝えなきゃな!

せ〜まちゃ〜ん、しっかりがんばってくれたね!

いい子いい子だよ〜。

大好きだよ、せ〜まちゃん、チュッ!」


「聖剣にすっごい、なでなで、ほおずりしてます!

人恋しくなると人間ってここまで落ちるものなんですね!?」

「ひどくない!? リュリュエルさん!」


「せーまちゃんって<聖なる力を害意ある敵に 自らの害意も自身に受ける魔剣>、略して聖剣のことですよね?」


「ああ! いっぱい仲良くしろって言ったろ。だから活躍してもらうたびに、こうしてるんだ。

ね〜、せ〜まちゃん♪」


「せーまって、聖魔ですか? 聖剣ですよ?」

「魔剣じゃん! でも聖なる力があるのは間違いないし、聖魔剣のせ〜まちゃん♡って、愛をこめて呼ぶことにしたんだ」


「確かにそうですね!

せ〜まちゃんの刀身が真っ赤になって、まるでテレテレしてるみたいです!」

「だろ! ほめるようになってから、ずっとこんな感じなんだ!」


「さすが無垢なる魂を持つマオ様! せ〜まちゃんとすっかり仲良くなってます!

てきと〜に言ったことなのに、心根が素直で真面目!」


「今、てきとうって言った!?

それはともかく、もういいかげん大森林フォレバストから脱出したい!

リュリュエル、どうにかして!」


「では、上空から見てみます! とう!」

「どうだ〜?」


「見渡す限り森ですね!

あちらにとんでもない大きな樹木が見えます。

行ってみましょう!」

「行くあてがないよりマシか……よし行こう!」

「ではでは、レッツゴ〜〜〜でっす!」




「ねえ〜……いつになったら着くの〜?

魔獣退治の毎日しんどい〜。もう半年は経ってるよね!?」

「ですね! マオ様! だいぶ大樹が大きく見えるようになりましたよ!」


「でかい……まるで天まで届くような高さに、端から端までたどり着けなさそうな幹の太さ。どんだけでかいの!?

まだまだ時間がかかりそう……もう疲れた〜」


「それでは! マオ様の疲れを癒すために! リフレッシュしちゃいましょ〜うっ!」

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