八十一羽 ☆ リュリュエル、見習い!

「フィス……フィスエル〜!

ふえ! ふわ〜〜〜ん!!!」

「ちょっとどうしたのよ!?

そんなにぐずぐずに泣いて!?」


「聞いてくれフィスエル!

リュリュエルが天使を解任されることになってしまったんだ!」

「ええ!? なんで!? どういうことよ、ラブエル!?」


「すべての試験で過去最低をはるかに下回る結果……天使としては未熟と判断され、天使予備校に降格となった!

愛の応援がたりなかったのか!?」


「試験は散々だったかもだけど、結果を残すほどに下界でがんばってたじゃない!

わたしが関わってるだけでも、ドラゴンの懐柔に、深海都市や海辺の王国を守ったり、魔王軍との大戦争を勝利に導いたわ!

ゴブリンの撃退に、魔王の配下を引き入れて妖精郷の守護者にしたり、傀儡くぐつと化した王国を守った話とかも聞いたわ!

ほかの天使とくらべても、かなりすごいことじゃない! 実績も考慮されるんでしょ!?」


「確かに! 俺も実績中心で昇級されている!

だが! リュリュエルの場合は、愛の成果の反面、愛の被害もまためちゃくちゃがすぎるとのことだ!」


「思いあたることが多すぎる!!!」


「ぐすん……ボク帰ります……天使の羽と輪っか、返しておいてください。

それじゃあ、バイバイです……」

「ちょっとリュリュエル! リュリュエル! もう!」




「ボク、がんばったんだけどな〜。

…………はい、そうですね。ぐっすん。

あそこに見えるのは、学の天使ティーチエル先生……天使予備校に帰って来ちゃいました。

リュリュエルは、リュリュエルは、リュリュは……

フィスエル、バイバイです」


「リュリュエル! リュリュエル!」

「フィスエル? ひっく」


「天使でいいって! あんた天使を続けていいって!」

「ふへ? ほんとのほんとにほんと〜ですか?」


「本当よ! 嘘なんかつかないわよ!

ほら! あんたの羽に輪っか! それに大事にしてたバッジ!

置いていっちゃったでしょ!」


「ふぅわっ!!! ボクの神様バッジ!

フィスエル、ありがとうございます!

さっそくつけます!

くぅ〜〜〜〜〜〜〜〜!

やっぱりこれこそボクって感じですよね!

頭に輝く神の文字! 白く清純な天使の羽と、神の使いである象徴の天使の輪!

10級見習い天使のリュリュエルでっす!


うれしすぎて天界を100周しちゃいます!

行きますよ〜!

ドッピュン! ドピュドピュ! ドッピュ〜〜〜ン!!!」

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