五十七羽 ☆ リュリュエル、恨み!
「くっ! ライバルの名を忘れるな!」
「そうでした! ボクのライバルさんですね!
それでボクのライバルさんはどちら様でしたっけ?」
「心も翼も漆黒の闇に染まったフォーリンエンジェルのヤミエルだ!
荘厳な玉座の後ろに背もたれて、余裕のポーズでかっこよく、ほくそ笑んでいたところをよくも邪魔したな!」
「おお〜! そこはかとなくかっこよさそうです!
ボクもやってみましょう! ふ!」
「貴様……なかなかいける口だな!
海溝に沈められて、海底暗黒鮫にガブガブされた恨み!
暗いし、寒いし、どれだけ寂しかったことか!?
右眼の封印を解放したせいで、しばらく業火も洗脳も使えないしでどうしようもないわ!
積年の恨み! ここで晴らさせてもらおう!」
「それってボクのせいですか?
いいですけど、空気を読まないヤミエルのせいで、皆さん止まっちゃってますよ?」
「ぬ……すまん」
「ヤミエルって、とっても素直ですね!」
「じゃかましい!!!
あー、コホン。
貴様! ラルーナ姫を奪還しに来た勇者だな!」
「お、おう! 俺はユウ! ラナを返せ!」
「くははははは!
姫はこの通り囚われの身だ、決して解放などしない!
この俺! 漆黒の堕天使、ヤミエルのいいように利用させてもらう!」
「ラナ様、素敵なドレス姿でいい感じに緊縛されちゃってます!」
「たしかに……って違う!」
「ユウのえっち!」
「ラナは俺のラナだ! 絶対に助ける!」
「俺のって言った!?
こんなとこでやだ! もう、ユウったら!」
「ラナ様、なんだかんだ余裕がありそうですね」
「やれるものならやってみるがいい!
宰相よ! いや! この世界の魔王が四将軍、闇霊暗黒司祭よ!
勇者を倒すのだ!」
「いいよ〜! チミちゃんがやっちゃうのだ〜!」
「宰相さんがかわいい女の子の声でしゃべりだしました!」
「スキル<繰り言で遊びたおす繰り糸マリオネット>〜!」
「玉座で黙って座っていた王様や、立ち並んでいた貴族たちの頭の上に何か出たぞ!」
「かわいいぬいぐるみの幽霊さんですね!
王様さんたちの頭の上に浮いて、何本もの糸で操ってます!」
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