四十三羽 ☆ リュリュエル、称号!

「彼らはボクの勇者様たち!

神の使徒であるボクが授けた称号は……。

<魔物が愛する神の勇者サーカス団>!

略して!

<まあいっかサーカス団>で〜す!

この者たちが魔王を倒し! 世界を導く勇者となろう!

えっへん!」


「通り名のダーリッヤが、まあいっかになった!?

ダーリッヤには威厳ある善っていう意味があったのに!

まあいっかサーカス団って何!?

いかにもなテントから出てくる猛獣を操る感じとか、武闘家ちゃんたちの曲芸みたいな技とか、あれこれ四人の特徴はそれっぽいけど!?

まさかの大道芸勇者!?」



「ただいま帰りました!

合同軍から歓声が湧き上がってます!

胃液くさい将軍さんとか、はちゃめちゃに巻き込まれた方たちが、とっても愉快そうにしてました!」


「愉快じゃなくて、不快じゃない!?

あ〜あ。これでもう逃げ場はないわね」

騎士「逃げ場ってなんだ!?」


「魔王軍が撤退していきますよ!

完全勝利ですね!」


「追撃はしなくていいの?」

騎士「しない。魔物たちも疲れたろう」


「できるときに殺っときなさいよ!」

「フィスエル、お顔が怖い!」


騎士「できないんだ! あんまり働かせすぎるとな……」

「何かあるんですか? 騎士様?」


騎士「あるんだよ!!!

添い寝したり、なでなでしたり、かゆいとこかいてやったり、食い物をあ〜んってやったり、とにっかく甘やかして甘やかして甘やかしてやらないとなんだ!」


「騎士くん、だいぶストレス多そうね?」


騎士「僧侶のスキルを拒否して小さくならないし、魔法使いのゆりかごにも入ってくれないんだ!

人間の食い物の味を覚えて、狩りにも行かないし!

でかいままだと食費もバカにならないし!

意識を共有してるから情報つつぬけだし! シクシク」


「さすが! スキル<誘惑の業剣>! 業っていうだけありますね!」

「愛が重たすぎるわ!」


「ボクとフィスエルも魔物のお世話、お手伝いしますね!」

「ええ!? わたしも!?」


「食材ならエンジェルバッグにたっぷりあります!

ボク、がんばりますよ!」

「あんたの手料理ならいらないわよ!?

これだけの数、どんだけ時間かかるのよ!?」


武闘家「可愛い魔物たちのためよ!」

魔法使い「可愛い!? 最初は、ふざけんなとか言ってたのによ! 心変わりがすげえ!」

僧侶「愛の奇跡です!」


魔物たち「ガルゥ♡」

「喜んでる魔物たちも案外可愛いわね」


騎士「しかし、サーカス団とはな」


「もう一つ! ボクからプレゼントをしちゃいましょう!」

「これ以上、何をするのよ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る