三十七羽 ☆ リュリュエル、号泣!
「天使の皆さま、本当にありがとうございました!」
「これでお別れですね! ボク、涙が出ちゃいそうです! くすん」
「そういえば、秘宝の鍵とかってマリン姫、言われてたでしょ?
それってなんなのかしら?」
「人魚の王族に継承される秘宝<海荒れる 凪そよぐ 調べ>のことですね。
その調べは、海の力を操ることができると言われていますが、悠久を経て、実際に使われたことがないので、伝承にあることしか分かりません」
「津波とか? 今回の戦で使ってれば、とりあえず勝てたんじゃない?」
「そんなことをしたら王国や近隣の村々は壊滅だろう!
そんなのは俺の愛の美学に反する!」
「ところでリュリュエル。あんた首からぶら下げてるのなに?
ほら貝? 青く輝く宝石みたいなのがいっぱいついてて素敵ね」
「秘宝<海荒れる 凪そよぐ 調べ>ですね!」
「なんであんたが持ってるのよ!?」
「昨日、宴の最中にマリン姫からいただきました!
さっそく吹いてみましょう!」
「ほら貝をくわえるな! 吹くな! マリン姫!?」
「え〜と……なにかこう、リュリュエル様に差し上げた方がいいような気分になりまして……。
海底神殿の奥にある人魚の王族しか入れない神域にお通ししたんです」
「いつの間に!? トイレ行ったとき!?
もしかしてリュリュエル……ヤミエルの精神攻撃を受けて、洗脳、覚えちゃいました! なんていう気じゃないでしょうね!?」
「ピ〜ピピ〜ピ〜♪」
「覚えたんかい! 口笛吹くな! ごまかすな!
だから、ほら貝をくわえるな! 吹くな! ちゃんとマリン姫に返しなさい!
縮地!!!」
「ふぇわ!? 秘宝がとられちゃいました!?
それ、ボクのです〜! や〜だ〜! フィスエル、返して〜〜〜」
「あらまあ、大粒の涙をボロボロと。
そんな情けない顔して、泣かないの!
これはちゃんと返すのよ!」
「エンジェ〜〜〜ル洗っ脳!!!」
「きゃあ!? 洗脳される!?
…………なんにも起こらないわよ?
もしかして、洗脳できなくなった?
世のため人のため、なくなってほんっと良かったわ!!!」
「ふぇ〜〜〜ん!」
「別れの涙よりめっちゃ派手に泣いてる!
マリン姫、王子。あとはがんばってね!」
「俺はしばらくこの二人についている!
二人の熱々な愛に感謝する!」
「あ、あああ、愛じゃないわよ!? 二人って誰のことよ!?
ラブエル。今度会ったら女子トークしましょうね」
「なひゃはうわぅおぅ、きゃう! きゅう……」
「また気絶しちゃった……ほら、行くわよリュリュエル!」
「首根っこつかんで引っ張らないでください〜。
フィスエルのいじわる〜!」
☆次回新章!☆
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