二十九羽 ☆ リュリュエル、包囲!
「やっぱりいつもの衣に戻したじゃない。
あんた遊びたかっただけでしょ!?」
「何のことでしょ〜?
フィスエルだって、すっごく、とっても、いっぱい、楽しんでましたよね!」
「そこまで強調せんでもいいわ!」
「わ、わたしも楽しんじゃいましたけど……」
「あと少しで都です」
「は〜い」
「海底都市が見えてきたわ。
虹色サンゴがきれい……瞬き真珠のランプだったり、スズランわかめが茂ってて、しっかり明るいわね」
「うぅわあ〜〜〜!
見渡す限り、敵に包囲されてます! 絶景ですね!」
「絶景ってどういうこと!?
でもさ、あれって魔王軍ていうより、人間の軍隊じゃない?
こんな海底で?」
「魔王軍が海辺にあるウミベーノ王国に協力して、都を滅ぼそうとしているんです。
しかも、わたしのラブラブラブリー王子様が指揮をとってるんです!」
「ラブラブラブリーって、だいぶくどいわ!
これ、天界にお願いして天軍なり要請した方がいいんじゃない?
でも、下界の争いに直接介入なんて神様たち許してくれないかしら?」
「神様たちなんてダメダメです!
ボクたちの力で何とかしましょう!」
「めっちゃ神様、否定したわね?
わたしたちだけじゃ、あんな大軍どうにもならないわよ!」
「だ・い・じょ・う・ぶ!」
「なんの自信!?
意味のない手振りとスタッカートやめて!?」
「あ、あの天使様、シンカーイトシーの存続とは別に……。
お願いしたいことがあるんですがいいですか?」
「いいですよ!」
「二つ返事!? 内容聞いてないのに、フライングもいいとこじゃない!?」
「わたしの王子様を……わたしをどっぷり愛してくれた王子様を助けてください!」
「どっぷりって!?」
「王子様と魚類の禁断の恋ですね!」
「魚類! 言い方が禁断すぎない!?
王子様ね〜。女の子なら誰でも憧れる存在よね(ちらり)。
こんなのじゃダメなのに……もう!」
「何がダメなんです?」
「憧れなんてそんな……どっぷりラブリンなだけです〜!」
「なんか急に帰りたくなってきたわ」
「見つけたぞ!」
「いきなり、誰です!?」
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