三十羽 ☆ リュリュエル、順応!

「黒い翼に、黒光りする天使の輪!

堕天使じゃない!」


「かっこいい!

黒い翼に輪っか、ボクも欲しいです!」

「あんた、堕天使のことわかってる?」


「シンカーイトシーの秘宝の鍵、マリン姫!

貴様を手に入れて世界を混乱に落とす!

俺と一緒に魔王軍に来てもらおう!」


「秘宝の鍵! ワクワクな予感がします!」

「姫……あんた人魚のお姫様だったのね……」


「ボクは10級見習い天使のリュリュエルです。

どちら様ですか?」


「俺か? よくぞ聞いた!

俺は、漆黒の闇に包まれたフォーリンエンジェルのヤミエル!」

「普通に堕天使って言いなさいよ」


「ちっ! 新たな天使に助けを求めたか。

だがしょせんは下級天使。

痛い目にあいたくなければ、姫をよこせ!」


「それじゃあ、都に行きましょうか」

「それじゃあ、じゃない! 勝手に行くな!

姫をよこせと言っただろうが!」


「え〜。よこしませんよ?

じゃあ、失礼しますね(ぺこり)」


「行くなと言っている!

ならば痛い目をみるといい!

俺の右腕に宿る隠された力を喰らえ。

地獄の業火!」


「ふぅわあああああ!」

「海中なのに炎!?

リュリュエルが炎に包まれちゃった!」


「なんてものすごい炎なんでしょう!」


「ふ。さすがにこの程度ではダメか。

左腕こそ隠された真なる宿りし力。

ヘルヘルヘルファイア!」


「体が燃えちゃいますぅ〜〜〜!」

「リュリュエルが死んじゃう!」


「はあはあ! とっても熱い炎ですね!」


「くっ! これでも消滅しないとは。

今こそ、右眼の封印を解放するとき!

眼帯に隠されし黒き輝きよ。

我が意志に従い、その力を解き放て!

呪われし黒い炎よ! 灼熱に輝け!

ラストインフェルノ!!!」


「ぽかぽかしてきました〜。

温泉みたいでとってもぬくぬくです!」

「「「温泉!?」」」


「右眼の封印だぞ!?

火傷の一つもないだと!?

なぜ消滅しない!」


「慣れちゃいました!」

「「慣れるな!」」

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