十七羽 ☆ リュリュエル、妖精!

「花がきれいだな〜……やっと終わったけど、どんだけ時間かかったの?」

「あたり一面、輝石カモミールが満開ですね!

とある世界の花言葉では、逆境に生まれる力だそうですよ?」

「逆境ってレベル超えてない?」


「一年ぶりに咲き輝いて美しいですね。まさに今のマオ様にぴったりの光景!」

「もう一年も経ってたの!?」


「そうですよ? 毎日、ボクの手料理をしっかり食べてたじゃないですか。

魔獣のお肉はたっぷりありますが、野生の暴暴小麦などはボクが収穫していたんですよ?

おいしかったですよね!」

「そういえば……トラウマなことばっかり思い出すんだけど!?」


「あれ? また何か来ますね?」

「もう、逆境はやめて!

もしかして、あのまま死んでた方が良かった!?」


「あれ〜、にんげんがいる〜、なんで〜?」


「森の妖精フォレストフェアリーじゃないですか!

とても可愛らしいですね!」

「しってる〜。

わ〜、すごい〜、いっぱいまじゅうがしんでる〜。

たべていい〜?」

「妖精って魔獣食べるの!?」


がぱっ!

ゴキゴキ!

バキバキ!

ごっきゅん!


「おいしいね〜」

「食べてるときの顔が凶悪!」


「勇者マオ様がすべて討伐したんですよ!

勇気あふれる行動!

魔王を倒さねばという志を感じました!」

「嫌々戦ったはずだけど?」


「つよいんだ〜、てふてふのおねがい〜、きいてくれる〜?」

「勇者マオ様は誰の願いもすべて叶えます!」

「俺の願いは? 誰が叶えてくれるの?」


「てふてふの〜、おうちが〜、にゃんこにとられちゃったの〜。

てふてふ、おうちにかえりたいの〜」

「マオ様、てふてふちゃんのお家を取り返してあげましょう!」

「にゃんこって猫? まさか猫の怪物ってことない? 大きさは?」


「ん〜とね〜、これくら〜い、かわいいよ〜」


小さなてふてふがいっぱいに手を広げています。


「普通の猫くらいの大きさですね?」

「手の平サイズのこの子の家っていうくらいだから、そんなに大きくないか……」


「かわいいみたいですしね。

凶悪な怪物だったら良かったのに残念です」

「残念じゃないよ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る