第7話 学校の風

三時間前、


真霜「私がですか」


稲葉「無理にとは言いません。ただ、砲術士と相性が良さそうだなと思っただけです」


真霜「はぁ…なるほど」


稲葉「あ、あと。この事を砲術士には教えないでください」


真霜「別に構いませんが…なぜです」


稲葉「まぁ後で色々と面倒なので」



現在、


真霜「暇だったからです」


木原匠「はぁ(暇だけで来るものなのかな)」


真霜「そうそう、あの先のところに、私の母校の横須賀女子海洋学校があるんです」


木原匠「横須賀女子…ああ、晴風乗組員もそんなこと言っていたような」


真霜「どうです、見に行きますか?」


木原匠「(まぁ調査ということもあるし)では、よろしくお願いします」




横須賀女子海洋学校


ブルーマーメイドの養成学校

本校は呉で、横須賀、佐世保、舞鶴の各校は分校扱いとなっている。新入生の募集は横須賀、呉、佐世保の3校では持ち回りで行う一方、舞鶴校は毎年生徒を受け入れている。このため、横須賀、呉、佐世保の3校には1学年の生徒しか在籍していない。

校舎がある人工島は推進機関を有するメガフロート型の建造物であり、非常事態の際には海上保安法第12条に基き、校長の指揮下で巨大戦艦としても運用することができる。


木原匠(前にも、少し説明されていたけど、こんなでかいものが本当に動くものなんか?信じられんな)


真霜「校長から許可が出たので、案内します」


木原匠「はい」


木原匠(校舎は幹部候補生学校みたいな造りだな。それに、大和型や、金剛型、高雄型、陽炎型、…ちょっと待て、どんだけあんの?説明されてはいたけどこんなにあるのは聞いていないって…いけない、いけないこれは調査だ。後で見れば良い)



真霜「着きました」


木原匠「えっと…ここは?」


真霜「母…校長室です」


木原匠「校長室ですか」


コンコン、


?「どうぞ」


真霜「失礼します」


真雪「あら、真霜じゃないどうしたの」


宗谷真雪 横須賀女子海洋学校校長


真霜「おか…校長。先日お伝えした方を連れてきました」


木原匠「失礼します。護衛艦すずつき砲術士の木原匠三等海尉です」


真雪「あら、こんにちは。私はこの学校の校長の宗谷真雪です」


木原匠「宗谷さん、ということは」


真雪「ええ、そこの真霜という人の母です。まさか真霜が男の子を連れてくるとわね」


真霜「ん、校長先生プライベートの話は後にしてください」


真雪「あら、ごめんなさいね」


木原匠「ははは、」


真雪「それで真霜、どうしたの?」


真霜「えっと、この方にこの学校を見学させてくれることはできないでしょうか」


真雪「ええ、もちろん大歓迎よ」


こうして、学校見学が始まった。


木原(学校とは言ってもブルーマーメイドの養成校ということは、自衛隊で言う幹部候補生学校とか教育隊を見学するのと同じだからな)


真霜「この学校では、成績によって艦、要するに、クラスに分かれているんですよ」


木原「へぇ、そうなんですね。ちなみにどのクラスが成績が優秀何ですか?」


真霜「横須賀では超大型直接教育艦の武蔵クラスが優秀なんです。呉では大和、舞鶴は信濃、佐世保では紀伊となっています」


木原「やっぱり優秀生だからこそ扱える艦なんですね」


真霜「そういえば、貴方がたには教育艦はないの?」


木原「ないですね、練習艦はありますが、教官がいない艦を未熟な私達だけで乗せるなど考えられません」


真霜「そうなんですか。では、桟橋に行きましょうか」



横須賀女子海洋学校桟橋


岬「暇だね~五十六」


五十六「ヌゥ」


五十六

航洋艦「晴風」の「大艦長」


ましろ「艦長また猫と構っているんですか」


岬「だって暇なんだもん」


ましろ「来月には中間試験があるんですよ。今のうちに勉強しないと後々後悔しますよ」


岬「えーまだ来月だよシロちゃん」


ましろ「今だからこそです。あと、その呼び方やめてください」


岬「えー良いと思ったのに…あれ?誰か来たみたい」


ましろ「ちょっと話をそらないで…って、姉さん?!」




木原「色んな種類の艦があるんですね」


真霜「ええ、少なくともここには40隻の艦艇が所属しているの」


木原「そんなにあるんですか…向こうには明石型と秋月型、その隣に長良型と手前には陽炎型と…大和型」


真霜「詳しいのですね」


木原「まぁ、私は海軍オタクですのでこういうことに関しては詳しいんです」


木原(うっひょー実際に見ることは不可能な大和型戦艦を目の前で見てしまった。こんな事があっていいのだろうか!!!!!!!)


真霜(なんだろう、顔は平然としているのだけど、何か興奮しているように見えるような…)


木原「え、えっと(゜-゜)、もう少し近くで見ても良いっすか?!」


真霜「え、ええもちろん」


木原「ありがとうございます!」


ビューン💨


真霜「…へ?」


真霜(き、気のせいじゃないよね、ここから武蔵まで200メートルあるのに一瞬で…)








五十六

茶トラの大柄な猫。その体格はもはやデブ猫といってもいいほどである。猫でありながら、航洋艦「晴風」の「大艦長」を務める。













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