第2話 出会いの風

今回は何かすごく長いような気がするので、暖かい目で見てもらえれば幸いです。それではどうぞ。




二隻の護衛艦は門をくぐり抜け、門の向こうへ行った。


稲葉「GPS、レーダーに反応は」


航海員「レーダーは反応ありません、GPSにも反応がありません」


稲葉「やはりそうか。先行隊の情報にもGPS の反応がなかったな」


木原匠「どうなっているんでしょうか?」


稲葉「わからん。だが、私達の世界とは違う 何かがあるのかも知れないな。それはともかく接岸の準備だ」


こうして門をくぐり抜けた二隻の護衛艦は仮桟橋に接岸した。そして、すずつき士官室で

艦長同士の会議を始めた。


稲葉「先ほど挨拶をしましたが、今回はよろしくお願いします。早乙女艦長」


早乙女「ええ,よろしくお願いします」


早乙女葵 二等海佐 うみぎり艦長


稲葉「さて、これからは周辺海域の調査と…」


早乙女「大陸の発見…」


稲葉「ああ、早乙女二佐も知っての通りこの 海域ではインターネット、GPSなども使えない。この世界は私達の住んでいる世界とは違う世界…と仮設されている限りこの世界はどうなっているかを調査しないといけない」


早乙女「そうですね。先程から不可解なこと だらけですからね」


稲葉「ああ、まずヘリで…」


北口「失礼します!」


稲葉「どうした、副長」


北口広樹 三等海佐 すずつき副長


北口「対水上レーダーに反応がありまし て…」


稲葉「!わかった。すぐ行く」


艦橋にて、


稲葉「レーダーの反応は」


木原匠「現在は止まっていますが先程まで約12ノット(約時速20Km)の速力で動いていました」


稲葉「うん…」


稲葉は双眼鏡で確認すると、赤い二本のラインが目立つ船があった。


稲葉「この世界にも私達と同じくらいの文明 とかがあるのか…」


早乙女「この大きさできたらあぶくま型位で すかね」


稲葉「そうだな…」


木原匠「無線に感あり」


稲葉「!?繋いでくれ」


木原匠「はい」


?「…こちら航洋艦晴風貴艦の所属を教えてください」


木原匠「(航洋艦?)こちら日本国海上自衛隊 所属の護衛艦すずつきである。貴艦の所属を教えていただきたい 」


?「…私達は横須賀女子海洋学校所属の航洋艦晴風ですが…あの、海上自衛隊とは何ですか?護衛艦も…」


木原匠「何を言っているんだ。それに…横須 賀女子海洋学校という学校は存在しないぞ」


?「えっどういう事?」


稲葉「ともかく話をしようではないか。私は すずつき艦長の稲葉だ。君達は艦に乗っているのか」


?「はい」


稲葉「では、私達が接岸している桟橋に接岸

を願いたい」


?「わかりました」


こうして謎の航洋艦晴風と呼ばれる艦とのコンタクトができた。


北口「しかし、まさかだと思いましたが私達の住んでいる世界と同じくらいの文明があるんですね」


稲葉「だが、私達との知っている常識が通用していない。それに砲術士が言うように横須賀女子海洋学校は存在しない世界である」


早乙女「つまり、私達と似た世界であるが、常識が違う」


稲葉「そういうことだ。まぁそれはこれから話をして情報把握をしたいことだ」


そして、晴風が桟橋に近づいてきた。


木原匠「えっ!あれって陽炎型じゃないですか!」


稲葉「確かに、何で第二次世界大戦の時の艦があるんだ。」


早乙女「戦闘艦としてはあの色は目立ちしすぎますし、それに乗っているのは女子高生位の人達だけですね」


木原匠 (そういえば陽炎型に晴風という名前の艦ってあったっけ)


こうして晴風の接岸が完了した。


稲葉「うん…見た目は確かに軍艦だが、乗っているのは女子だけのように見える」


木原匠「しかも、海洋学校所属って練習艦にしては重武装ですね。(というか陽炎型だろ、これは…ワクワクしてきたぜ)」


?「こんにちは」


稲葉「うん、君が先程無線で話しかけた者かね」


岬「はい、晴風艦長の岬明乃です」


稲葉「護衛艦すずつき艦長の稲葉二佐だ会えて光栄だ。早速だか話をしようではないか」


岬「はい」


こうして私達とは世界が違う同士の接触が始まった。


木原匠「…艦長何で私もここにいるんですか」


稲葉「ん?ああ、他の幹部は海域の調査や、艦を任せないといけないだろ。君、暇だろ?だから書記として連れてきたんだ」


木原匠「いや、確かに私の仕事は片付いていますが…わかりました」


稲葉「わかれば良いのだ」


木原匠 (何か艦長の雑用係されているような)


こうした会話があるなか、会談が始まった。


木原匠「これから会談を始めます。まずは双方の自己紹介を」


稲葉「先程伝えた通り私は護衛艦すずつき艦長の稲葉良二等海佐です」


早乙女「護衛艦うみぎり艦長の早乙女葵二等海佐です」


木原匠「護衛艦すずつき砲術士の木原匠三等海尉です」


岬「私は航洋艦晴風艦長の岬明乃です」


宗谷「同じく航洋艦晴風副長の宗谷ましろです」


納沙「書記の納沙幸子です」


稲葉「では私から質問をするが、この艦に教官などの方は乗られているのか」


岬「いえ、教官の部屋はありますが、私達学生しかいません」


稲葉「では、君達の年齢は?」


宗谷「私達は全員15歳位の人達です」


稲葉「15歳でこの艦を…わかった。では横須賀女子海洋学校とはどういう所なのかね」


納沙「それではこの動画を見れば」


こうして納沙が出したタブレットに流された動画を見た。坂本龍馬が暗殺されそうになった事から始まり、女子海援隊が創設され、その後ブルーマーメイドの創設、横須賀女子海洋学校の創設などを簡単に説明された物だ。坂本龍馬が暗殺されなかったのも驚きだったが、何より


木原匠「第二次世界大戦が起きていない」


第一次世界大戦に似たような欧州動乱はあるのだが第二次世界大戦のような戦争はなく、また、日本が石油やメタンハイドレートの採掘に端を発する急激な地盤沈下で日本の平野部が海に沈んでいる状態だった。


稲葉「何てこった」


宗谷「では次に私達が質問します。海上自衛隊とはどんな組織何ですか?」


稲葉「海上自衛隊とは日本を海外からの侵略から守るための組織です。国際法では海軍のような組織です。これも動画を見るのが早いですね。」


こちらも海上自衛隊の歴史や、創設された過程をまとめた動画を見せた。(決して説明がめんどくさいとかではありません。決して)

第二次世界大戦などの映像などもあり、三人とも複雑な顔を見せていた。


稲葉「これが海上自衛隊と私達の世界です」


岬「…」


宗谷「…」


納沙「…」


みんな沈黙をしてしまった。やはり、第二次世界大戦などを知らない人からすると驚きや、色んな感情が出てくるのであろう。


木原匠「質問はありませんか」


岬「…えーと」


宗谷「確かに貴方と私達の世界とは違う世界であるとは理解しましたが、時々空を飛んでいる鳥のような物体は何なんですか」


岬「あっそれ思った。すごい速さで空を飛んでいたね。飛行船とは違うし…」


稲葉「ん?ああ、これは飛行機というのだ飛行船とは違い、水素やヘリウムを使わずに空を飛べる乗り物だ。また、ヘリコプターと呼ばれる羽が回転することで飛ぶことができる乗り物もあるぞ」


宗谷「そ、そんなものが」


納沙「やっぱり、あるんですよ副長。水素やヘリウムを使わない乗り物が!」


その後も会談をしたが、相手は学生と言うこともあり、うまく伝わりきれない事もあり、今度は実際にブルーマーメイドのトップなどと話をすることとなり、晴風が案内することになった。





違う世界の者同士が出会う風が吹いた。





〜登場艦艇〜

護衛艦うみぎり

あさぎり型護衛艦8番艦

第十二護衛隊所属

母校 呉

あさぎり型護衛艦8番艦として建造された本艦であるが、艦歴が30年も経っているので近い未来退役されることになっている。





〜登場人物〜


早乙女 葵

階級 二等海佐

職種 護衛艦うみぎり艦長

国立大学卒業後海上自衛隊幹部候補生学校に入隊、練習艦やまゆき副長を経験し、現在に至る。 護衛艦うみぎり初の女性艦長である。


北口広樹

階級 三等海佐

職種 護衛艦すずつき副長

防衛大学校卒業後、海上自衛隊幹部候補生学校に入隊し、現在に至る。


納沙幸子

役職 記録員/書記

普段は物腰丁寧で穏やかな口調で、何でもこなす何でも屋であり、データベース系の国内最難関とも言われるデータベーススペシャリストを取得しており、常にタブレットを持って記録や計算、情報収集している。























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