第2話 HEN-TEKORIN
この世に生まれて数ヶ月の赤ん坊が、宙を見ながらにまーっと微笑んでいるのを見た事があるだろうか? いつもと変わらぬ部屋で突然、飼い犬が吠えたりした事があるだろうか?
それはきっと、ぼくのような妖精がいるのだと思う。ぼくの身長は二十八ミリメートルだけど、人間や動物たちと同じように大きさも顔も形も性格も違うんだ。
ただ共通しているのは、ぼくのような妖精の姿が、見える人と見えない人がいるらしい。猫や犬にも見えたり、見えなかったりだとか。
そしてぼくは妖精だから、もちろん魔法が使えるんだ。この右手にいつも持っている小さな星の魔法のスティック。これを使って、魔法をかけて人間達を喜ばせる事ができるんだ! そして、魔法をかけられた人間が嬉し涙を流したら、ぼくは急いでポケットの中から小さな小瓶を出して涙を集めるんだ。
嬉しい涙の雫は、この魔法のスティックの電池になるからね! とーっても貴重なんだから。これがないと魔法のスティックが使えなくって、ぼくはただの小さな妖精になってしまうのだ。せっかくだから魔法は使いたいからね。
いったい何の妖精か? って?
それは、まだまだ秘密だよ。
まぁ、空は自由に飛ぶことは出来ないかな。ぼくには羽根はついてないからね。ただ、時々魔法で高くジャンプする事は出来るよ。
めったにやらないけど。だって『高所恐怖症』なんだもん! それに、高い所から着地すると膝に負担がかかっちゃうし、髪の毛は乱れちゃうし。五本しかない髪の毛だから、大切なんだよ。
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