タキシードを着た妖精

綴。

第1話 自己紹介

 身長二十八ミリメートル。

 体重七グラム。

 足のサイズ三ミリメートル。

 

 右手には先端に小さな星が付いた魔法のスティックを持っている。

 

 限りなく黒に近い紺色のタキシードに身を包み、襟元には赤いスパンコールの蝶ネクタイをつけ、ピシッとキメている。

 瞳はまん丸で、自慢じゃないが睫毛がクリンと長い。

 まるで少女漫画に出てくる主人公のようだねーと仲間は褒めてくれる。


 眉毛と髪の毛のお手入れは欠かさない。

 特に五本しか生えていない髪の毛は貴重だから、丁寧に扱うのだ。左から二番目の毛だけが何故か長くて気に入っている。


 残念なのは、前歯が一本だけない。いつからないのかもわからない。最初からなかったのなら、神様に悪戯されたのかもしれない。


 たまに魔法が使えたり、使えなかったり。小さな星を光らせる為に電池を消耗してしまうらしい。

 あぁ、電池手に入れておかなくちゃ。


 誰じゃ? 

「ちっさいオッサン!」

 って、聞こえたぞ。


 違うわい! ちゃーんと名前はあるんだ。

『HEN-TEKORIN』


 タキシードを着た妖精なのだよ。

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