第16話 ゴブリンの村 パート7
私はエンデにより、『終焉姫』の『レア称号』を授かったことを知り、それが原因で父であるロード国王から暗殺されかけたことを知る。
「へぇ〜私は王女様だったのねぇ〜」
「そうみたいね。本当なら豪華な部屋でバナナを好きなだけ食べれたかもしれないわね」
「バナナはたくさん食べたいけど、私はここでの暮らしに満足してるのですぅ〜」
私を殺そうとした父親の元へ帰りたいとは思わない。それよりも、人間の私を大事に育ててくれているアザレアとガロファーの元で暮らしている方が何倍も幸せだと感じている。
「また話がバナナにそれてしまっているけど『終焉姫』としての自覚はもてたかしら?」
『終焉姫』の役割はこの世界を滅ぼすことである。この突拍子もない役割に私は目を背けていた。
「私に世界を滅ぼす力はないのですぅ〜。それに私はここでのんびり暮らしたいので、そな役割は遠慮するのですぅ〜」
「今の無知なあなたでは世界を滅ぼす力はないわ。でもね、『終焉姫』の力の源である混沌の魔力と『終焉姫』のスキルの使い方を覚えれば、世界を終焉に導くことはむずかしくはないのよ。今日から私達がびっしり鍛えるから心配は無用よ」
「違うのですぅ〜。世界を滅ぼしたくないのですぅ〜」
私には大切な家族がいる。それに、私をゴブリンだと思って仲良くしてくれるコブリン達、村のみんな、そして、モルカナ・・・私には大事なものがある。この大事なものを壊したくはない。
「あなたの意見などどうでもいいわ」
「アンファ、そんな言い方はよくないわ。この子の意見も尊重させないと前回のように失敗に終わってしまう可能性があるわ」
「でも、このポンコツの好きにさせれば世界は終焉を迎えるのではなくバナナで覆いつくされるだけになるわ」
「大丈夫よ。バナナに満ち溢れた世界になる可能性も捨てきれないけれど、いずれこの子は世界を滅ぼす選択肢を選ぶはず。今は自由にさせてあげてもいいわ。でも、混沌の魔力と『終焉姫』のスキルの使い方はきっちりと覚えてもらう必要があるわ」
「わかったわ。エンデの言葉を信じることにするわ。さてポンコツ、今から混沌の魔力についてレクチャーをするわよ。混沌の魔力については頭で理解するよりも体で覚えるのが手っ取り早いから心してかかるのよ:
「え!やるとは言っていないのですぅ~」
こうして私はアンファとエンデの指導により『終焉姫』のスキルを学び、混沌の魔力と普通の魔力の違いを学び成長したのであった。
~14話の後半に戻ります~
「やっと魔力を制御できるようになったね。しかも、魔法のイメージまで同時にするなんて、ダグネスちゃんには魔法の才能があるのだよ」
とモルカナは嬉しそうに言った。
「やったぁぞぉ~」
私も大きく飛び跳ねて嬉しさを表現する。
「茶番だわ」
「そうね」
私が混沌の魔力を上手く扱えるようになったことにより、2人は夢の中だけでなく起きている時も私の側に姿を出せるようになった。しかし、私以外には2人の姿は見えず言葉も聞こえない。
「うるさいのですぅ~」
私が二人に話しかける声は混沌の魔力により念話にかわり口も動かないので誰にも怪しまれることなく会話ができる。
「混沌の魔力濃度を下げる意味などないわ。力を隠したいのなら魔力量で微調整すれば済むことよ」
「ダメですぅ~。混沌の魔力は真っ黒で薄気味悪いから印象が悪いのですぅ~」
魔力濃度を薄める本当の狙いは着色して普通の魔法と同じようにすることである。
「エンデ、あの子の好きにさせるといいわ。あの子の選択は『終焉姫』の導きでもあると思うのよ」
「そのようね。終焉の始まりが訪れたみたいね」
そう告げるとエンデとアンファはスッと姿を消した。
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