Primitive-2
数か月前に始まった彼女の視線がすべての始まりだった。授業中に斜め前から感じる彼女の視線。最初はあたしの隣の席に座るクラスでも人気者の男子を見ているものだと思っていた。何人かの女子が彼を見ているのを知っていたし、きっと彼女もその一人なのだろうとしか思っていなかった。それは数日続き、彼が欠席をしても彼女はこちらを見ていた。試しにあたしが彼女を見返すと、彼女は慌てて視線を逸らして前の黒板を見た。ふうん、と思った。その時、あたしの中に生まれた感情は、
あたしは人の滅多に来ない屋上に至る階段まで彼女を呼び寄せてから、すぐにキスをした。彼女は目を大きく開き驚きながらも抵抗しなかった。これは儲けものだ。あたしはキスをしたまま彼女の手の甲を軽くつねって忠誠心を確かめてみた。彼女の身体がビクッと跳ねたが、じっとしていた。唇を離し、「あたしでいいの?」と尋ねると、彼女はコクコクと首を振る。どこかオドオドしている感じが気に入らないが、あたしの制御下に置けそうな性格であることは好都合だ。
「あたし、あなたのこと、本当はずっと、好きだったの。だから、あたしを見ていてくれて嬉しかったよ」
彼女の頬が赤くなった。こんな陳腐な言葉で喜んでくれるなら、お安いものだ。あたしは自分の指を彼女の唇の先に突き出す。彼女はそれが何かわからずに戸惑っていたので、本当にゆっくりと指を唇に近づけてみる。彼女は段々と理解をしていった。指が唇に触れ、唇の中に入り、突き抜け、指が根元まで入り舌の上でグリグリと動かしても、目を閉じてじっとしている。そのさまにあたしはとても興奮した。あたしを振ったあの女にもやりたかったことを彼女に遠慮なく施していく。あたしは指を何度も往復をさせる。彼女は壁に背と手をつけて身体が反り返るのを我慢しながらされるがままになっていた。可愛いな、と思った。
「それでいいの。ありがとう。嬉しいな」
予鈴のチャイムが鳴る。指を引き抜いて彼女を抱き寄せた。
「これからもよろしくね」
「はい」
小さい声だった。あたしは軽く彼女の腹を叩くと、彼女は、今度は大きな声で「はい!」と鳴いた。これがあたしと彼女との儀式であり、愛の始まりであった。
◇
「帰ろうか」
すっかり日の暮れた教室。あたしは彼女の首を絞めて痛くなった手をぶらぶらさせながらも、彼女に靴下と上履きを履かせ、服を整えてあげる。乱れた口周りを軽く拭いてやり、手鏡を渡してあげると、彼女はお礼を言って髪を整え始める。あれだけ暴れたからか、彼女は「ひどいよ」と呟く。あたしは「ごめんね」と言って頬にキスをする。舌で舐めて、直した顔を少しだけ汚す。また押し倒して化粧の香りを消し込みたくなったが、さすかにこれ以上の躾をする体力は残っていない。だから、支度が終わると、あたしは倒れた椅子を戻し、カバンと彼女を握りしめて教室を出ることにした。
今日も良い一日になった。彼女も良い一日だったと思ってくれればいいのだけれど、どうだろうか。
to be continued.
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