第41話 夏の思い出

★名前間違えがあったので、書き直し。最後の方書き加えました。一度読んだ方は、この話の最後だけ読んで公開中の42話へ

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 私、大原舞桜は、日向とは幼稚園の時から付き合いがある。


 幼稚園、小学校、中学校と同じで高校は離れるだろうと思っていた。けど、中学3年生の時に日向にどこの高校に行くのか尋ねたところ私が志望するところと同じ高校名を言った。


 お互い目指している高校が同じだということを知った時は嬉しかった。また日向と同じ学校に通えると。


 たまに一緒に夕食を食べて、学校で会ったら少し話して……そんな毎日が続くと思っていた。


 高校2年生になって、日向は古賀さんといるようになった。


 男女共に人気がある彼女と日向は初対面のはず。それなのに見かける度に2人の距離は近くなっているように感じた。


 付き合っているのかなと思い始めた頃、私は、モヤモヤしていた。 この気持ちがどういう気持ちなのか気付かずに。


 私には関係ないこと、日向が誰を好きになろうがどうでもいいと思い、そのモヤモヤの原因を気にしないことにした。


 そして日向と夕食を食べること、話す機会が減った日々が続く中、彼が彼女のことが好きだから告白すると私に話してくれた。


(あっ、やっぱり……)


 好きな人ができた。それを聞いて私はなぜか彼に「告白しないで」と言いたくなった。


 1番近くにいた彼が離れていくような気がした。だが、告白しないでと言ってそれでどうするんだと思い、結局何も言わずに日向とはその日、別れた。


(もしかして、私は日向のことが……)


 気付いたときにはもう遅かった。諦めるべきなのかな……。






***





(日向、大原さんと何話してるんだろう……)


 私が買ったものを食べ終えると日向と大原さんがいないことに気付き、後ろを振り返ると2人は何か話していた。


「…………日向」


 もし、大原さんが日向に告白したとしても心配はしていない。日向は、私のことを好きだと言ってくれた。他の人を好きになるはずがない。


 けど、さっきからモヤモヤする。大丈夫と何度も自分に言い聞かせても落ち着かない。


 2人の姿を見たくないと思い、みんながいる方を向くと明莉ちゃんと目が合った。


「沙夜ちゃん、花火あがるらしいよ。河井くんと見てきたら?」

「花火……」


 テレビの中継とかではよく見たことがあるが、私は、花火を見たことがない。


 見れるんだと思うとワクワクし、日向を呼びに行こうとしたが、今は大原さんと話している。


(どうしよう……戻ってくるまで待とうかな)


 戻ってくるまで待っていると後ろから名前を呼ばれた。


「沙夜」

「!」


 後ろを振り返るとそこには戻ってきた日向がいた。大原さんは、結菜と久保くんのところへ行った。


「花火やるらしいけど、見る?」


 日向の優しい言葉を聞くと彼に触れたくなった。周りが見ている、なんて気にせずに私は、日向に抱きついた。


「うん、日向と見る」


 みんなで楽しんだ夏祭りだったが、ここからは自由解散となり、私と日向の2人で花火を見ることになった。


 人が多く、はぐれないために私は日向とぎゅっと手を繋ぐ。


「いいところないかな……沙夜、足、大丈夫?」

「大丈夫だよ、心配してくれてありがと」


 すでに場所取りしている人が多く、いい場所はないかと歩き回っているので足を痛めていないか心配してくれた。


 日向のこういうところが好きだ。花火なんていい。人気のないところに移動して、イチャつきたい。


「日向、花火終わったら家に来ない?」

「家?」

「うん、お泊まりしてほしいなって。今日は、日向から離れたくない」


 こんなことを言ったら嫌われてしまうかもしれないと思った。けれど、好きな人が目の前にいると止められないのが私だ。


「わかった。母さんに言っておくよ。俺も沙夜と今日は一緒にいたいと思ってたから」

「やった。ありがと、日向」


 2人で話していると急にドーンという大きな音がした。それにビックリした私は、日向の腕にぎゅっと抱きついた。


「花火だ……」

 

 日向がそう呟き、私も彼と同じ方向を向くとそこには綺麗な花火が上がっていた。


「綺麗……」


 探し回っているうちに花火の時間になっていたようで、歩き回るのをやめて、ここから見ることにした。


 初めて見た花火はテレビの中継で見たものとは違った。


 いろんなことがあった夏だけど、こんな綺麗なものを見たら全て忘れられる。


「日向、花火ってこんなに綺麗なものなんだね」


「! 沙夜……」


 日向が何かに気付き、顔を近づけてきて手で私の頬を触った。


「泣いてるけど、大丈夫?」


「えっ、私……泣いてる?」


 気付いていなかった。自分が泣いていることに。慌てて、ハンカチで涙を拭き、私は大丈夫だよというようにニコッと笑った。


「ごめん、感動しちゃって……」

「ううん、俺もこんな綺麗なもの見たらそうなっちゃうよ」


 日向はそう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。甘えたくなり、ピトッと彼にくっつくと今度は抱きしめてくれた。


 去年は今年より楽しい夏休みの思い出が作れた。それはやっぱり日向がいたからだと思う。これからもたくさん思い出を作れたらいいな。

 




***




 泊まることになった俺だが、風呂から上がって寝る直前、寝転ぶと沙夜にぎゅーと抱きつかれ、動こうにも動けない状態になっていた。


 薄着の半袖ティーシャツを着ている沙夜の胸が腕に当たり、すでに限界を向かえそうだ。


(離れてというべきだろうか……)


「日向、ん」

「!」


 トントンと名前を呼んで肩を叩かれたので、彼女がいる横を向くと沙夜は、目を閉じていた。


「沙夜」


 名前を呼び、顔を近づけ、キスをする。最初は短かったが、回数を重ねるごとに長くなっていく。


 唇をゆっくりと離すと目の前にいる沙夜は、息が乱れていて、それを見た俺は理性がプチっと切れそうになった。


(が、我慢だ。抑えろ……)


 一度深呼吸してから俺は、口を開いた。


「沙夜……明日、千里さんに教えてもらったところ行こっか」

「! うん、行きたい!」


 






     

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