第13話 関係が変わるきっかけ
姉ちゃんと美海のダブルキスにより、俺はシスコンを自覚した。姉と妹がブラコンなんだし、別におかしい話じゃない…よな?
それからというもの、俺は姉ちゃんと美海にハグしたり頬にキスしたりして、さらに関係を深めている。もっとも、母さんの近くでは厳禁だが。
体の接触が増えてるとはいえ、今のところはそれだけだ。俺達がやってるのは海外の挨拶と一緒なんだから、気にする必要はない…。
そんなある休日の朝食中。家族4人で食べている時に母さんが言う。
「回覧板で知ったんだけど、近頃マンションの渡り廊下に、双眼鏡で家を覗いてる不審者がいるんだって」
自然溢れるところならともかく、この辺は住宅街だ。どう考えても怪しいのは言うまでもない。
「気持ち悪い人がいるんだね~」
美海に同感だが容赦ないな…。
「美空と美海は、なるべくカーテンを開けないほうが良いんじゃない? 薄いカーテンは透けるかもしれないから」
母さんの言う通りだが、事はそう単純じゃないぞ。
「でもお母さん、そうしたら昼間から電気点ける事になるけど…」
さすが姉ちゃん、俺の気になる点を指摘してくれた。明るい時間、母さんは仕事か買い物に行く事が多いから気付かなかったんだろう。
「それもそうね。…後は任せるから、気になる事があったら教えてちょうだい」
これを機に、不審者の話は終わりを告げる。
不審者のせいで、姉ちゃんと美海の生活に支障をきたしている。俺に出来る範囲で力になりたいが、一体どうすれば良いのか…?
朝食を最初に食べ終わった俺は、自室のベッドに寝っ転がりながら漫画を読んでいるところだ。そんな中、扉をノックされた。
「入って良いぞ~」
漫画を途中で切り上げ、ベッドのふちに座る。
…入ってきたのは、姉ちゃんと美海の2人だ。どうしたんだ?
「大地、話があるんだけど良い?」
「もちろん」
返事を聴いた2人は、俺の両隣に座る。
「さっきお母さんが言ってた不審者の話を聴いて、あたし思い付いたんだよ」
「思い付いた? 何を?」
美海は何を言い出すのか…?
「明るい時間は、ずっとお兄ちゃんの部屋にいさせて♡」
「えっ!?」
「大地が先に食べ終わった後、私と美海で話し合ったのよ。これがベストだと思う」
「ベストなのか…?」
と言いつつ、代案は浮かばないが。
「今のままだと、私と美海は部屋のカーテンすらロクに開けられないでしょ? 朝に限らず、太陽の光を浴びないとダメなの」
「不審者はここがお兄ちゃんの部屋とわかってると思うから覗かないって」
筋は通ってる気がするが…。
「この部屋に3人は狭いぞ? それは大丈夫なのか?」
1人で過ごす広さに3人だからな。気になるのは当然だ。
「全然問題ないけど?」
「あたしも!」
2人の決意は固そうだ。力になれるなら俺も本望だし、この方向でいこう!
「…わかった。姉ちゃんと美海の気が済むまで過ごして良いからな」
「大地は優しい弟ね♡」
「お兄ちゃん大好き♡」
俺の両隣にいる姉ちゃんと美海は、頬にキスし始める。
この至福の時間は本当に最高だ! そう思っていたら、姉ちゃんが俺の手を掴んで胸に押し付ける。それを見た美海も真似し始めた。
頬だけでなく、手も柔らかさに包まれる。気持ち良すぎてどうにかなりそうだ。この時間が永遠に続けば良いのに…。
こうして、俺達は気が済むまでキスしたのだった。
キスが終わった後、姉ちゃんと美海は私服に着替えるために部屋に戻って行った。それぐらいの短時間なら、電気を点けて何とかするようだ。
2人がいない今の内に、俺も着替えを済ませよう。
今になって思ったが、これから着替えはどうしようか? 恥ずかしさがあるから、いくら俺でも姉ちゃんと美海の前で堂々と着替えられないぞ。
今更前言撤回はできないし、考えておかないとな。俺は素早く着替えた後、思考に時間を費やす…。
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