第3話 闘技場編①

「マサトシさんありがとうございました。私たち東の孤児院に住んでいるので近くまで来たら顔を出してください。その時にお礼をさせてください」


シンとリリは早く帰らないと孤児院のシスターに怒ら・・・心配をさせてしまうとの

ことで急いで帰ってしまった。


シンとリリがまものマスターになって、ミサイル団を立ち上げる物語はまた別のお話。



ゴルドーにはすんなりと入ることができた。門では身分を確かめられたが図鑑が身分証明になるらしく、それを見せると問題ないといわれた。


二人からマモモンギルドに行くことをお勧めされたので、まずはギルドに向かう。少し歩くとマモノギルドはすぐに見つかった。討伐した魔物を持ち込むことがあるため門から近いところに作られているそうだ。


ギルドに入り、受付と思われる窓口でお姉さんに話しかける。


「こんちには、どういったご用件でしょうか?」


「知り合いからまずはギルドに行くように勧められてな、何もわからないんだが説明してくれるか?」


お姉さんはにこりと微笑んでうなずいてくれた。


「マモモンギルドではマモモンマスターのためのあらゆるサポートをおこなっています。マモモンの餌や未使用の魔石の販売、薬草採取や討伐依頼・護衛など多岐にわたる仕事の斡旋、制限を超えたマモモンの保管、そしてなんといってもマモモンの無料回復サービスです」


「保管?無料回復?」


「マモモンギルドが国から管理を依頼されているマモモン回復装置です。ギルドに登録されている人だけが使用できるので、マモモンを持っている人はほぼすべての人がギルドに入りますね」


「どうやって回復するんだ?」


「私の後ろにある装置にマモモンを捕まえた魔石を置くと、テンテンテテテンと全回復できるのです。死んでいるマモモンは回復することはできませんが、たとえ瀕死でも一瞬で回復できます。ちなみにどこかの街でギルドに登録すればこの国の全ギルドで使用できます。」


なるほど、すごい装置だ。そんな装置が無料で使えるとなるとギルドに登録するべきだろうな。


「ところであなた様のお名前を聞いてもよいですか?」


そういえば名乗っていなかったな。


「すまない、名乗るのが遅れた。マサトシだ」


「マサトシ様ですね。いい名ですね、まるで物語の主人公のような名前です。マサトシ様はマモモンを捕まえていますか?・・・すでに1匹捕まえているのですね。ご存じかどうかわかりませんが、マモモンは3匹までしか持ち運ぶことができません。4匹以上のマモモンを持ち歩こうとすると魔石が反発してしまうのです。過去に無理やり4匹のマモモンを持ち歩き、結果魔石が破裂しマモモンが制御不能に陥り被害者が出てしまう悲しい出来事が起きました。そのため現在では図鑑とギルドの装置を連動して4匹以上のマモモンを捕まえたときに図鑑を経由してギルドに転送する仕組みを作ったのです。ギルドに登録することでその仕組みも無料で使えます」


「そのマモモンはどうやって引き出すんだ?」


「受付の横にある装置に図鑑をかざしていただければお預かりしているマモモンを表示できます。ギルドに預けているマモモンを引き出すときも、手持ちのマモモンを預けるときもその装置でできますよ」


説明を受けた後そのまま受付嬢にギルドへの登録をお願いした。



「ところでマサトシさまは闘技場に興味はありませんか?」


ギルドへの登録を済ませた後受付嬢のレースさんが突然聞いてきた?


「闘技場ですか?あることは聞いていますが特にそれ以上のことは・・・」


「ちょうどビギナーの部で欠員が出てしまって枠が一つ空いてしまっているんです。1回戦で負けてしまっても参加賞が出ますし、勝ち残って優勝できれば賞金もそこそこ出ますよ。マモモンを殺すような戦闘行為は禁止されているのでデメリットはほとんどありませんので参加していただけませんか?けがを負ってしまってもすぐに回復できますし」


「そうだな、俺もウロボロスの実力がどの程度か確かめたいと思っていたんだ。出てみるか」


「ありがとうございます!闘技場出場者専用の宿舎があるのでそちらに泊まるようなら無料で朝食も付きますよ。闘技場は賭けの対象にもなっているので不用意な外部との接触はなるべく控えてくださいね」


「ありがたい、手持ちのお金も少なかったんでしばらくそこに泊まらせてもらうよ」


そういってギルドから立ち去る途中で


「おっ兄ちゃん、闘技場にでるのか?期待しているからな頑張ってくれよ!」


ギルドの中にいる人たちから激励の言葉を投げかけられる。あまりにも好意的で戸惑っていたのだが、どうやらマモモンギルドには中央の本部、東南西北の4つの支部があるらしく各支部から出場される選手を応援して盛り上がるようなお祭り感があるようだ。


言ってみれば俺は今いる南ギルドの代表選手のような扱いを受けている。勝っても負けても各支部にメリットもデメリットはないようだが常連のマスター同士でマウントの取り合いが行われている。俺が勝つことで他の支部の連中を小ばかにできるらしい。実に平和だ。


ちなみに中央の本部は現チャンピオンが在籍しているため別格とのこと。


ギルドの熱気に当てられてしまったかもしれない。マモモンチャンピオンになりたいな・・・ならなくちゃ・・・絶対なってやる!

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