第2話 地方都市ゴルドー
その後モーイゾ博士に世話になりながらマモモンの基本的な育て方を教えてもらい。ウロボロスの訓練をしたり、村人の手伝いをしたりして数日過ごした。
ウロボロスもレベルアップをしたようで水魔法を覚えていた。モーイゾ博士が「初めの3匹は水・火・草のうちどれかを選ばないといけないから、水マモモンでよかったわい」などとよくわからないことを言っていた。
村人たちは素性のわからない俺のことも好意的に受け入れてくれた。地方都市に行ったときに困らないようにと仕事に対しての対価としてお金をくれた。村にいるとお金を使うことがないため、行商人がやってきたときに持っていると便利と感じるぐらいらしい。
そうして最低限の準備を整えた俺は村を出てゴルドーに向かっている。
◇
「キャーーー!!」
村を出てしばらく歩いていると、女性の悲鳴が聞こえた。声が聞こえたほうに思わず駆け出した。
「こ、こっちに来ないで!」
女性と呼ぶには少し幼い女の子が、2足歩行の小さい魔物3体に囲まれていた。近くに男の子が倒れているが魔物はそちらには見向きもせず興奮した様子で女の子にじりじりを寄っていく。
モーイゾ博士に図鑑を見せてもらったがあれはゴブリンか?男の子と二人で魔物を捕りに来て男の子がやられてしまったのか?
「お前に決めた!ウロボロス!」
魔石を投げてウロボロスを召喚する。なぜか名前を言いながら格好よく投げないといけない気がした。
突然の声に驚いたのか、ゴブリン3体がこちらを振り向く。女の子も驚きの表情でこちらを見た。
「ウロボロス!噛みつきとしっぽ攻撃だ」
シュルシュルとかなりのスピードでゴブリンに近づく。ゴブリンたちは突然のことで反応が遅れてウロボロスの接近を簡単に許してしまった。まずはウロボロスが手前の一体の喉元を噛みつくと、そのまましっぽを鞭のようにしならせて2体目の頭を殴って昏倒させた。
それを見た3体目のゴブリンはすぐに逃げて行ってしまった。
初めての戦闘だったがあっけなく終わってしまったな。先制をとれたからと言ってゴブリン2体をこんなにもあっさりと倒してしまうなんて、モーイゾ博士が言う通りゴブリンは問題ないかもしれない。
「よくやったウロボロス、もどっていいぞ」
ウロボロスを魔石に戻す。マモモンにとって魔石の中は意外と快適らしい。中には魔石に入りたがらないマモモンもいるらしいが、マスターとのつながりを感じることができるらしくマスターと相性がいいマモモンほど魔石の中に戻りたがるとのことだ。
「あ、ありがとうございます」
「ああ・・・けがはないか?あと、そっちの男だが」
はっとした様子で女の子が男の子に駆け寄る。どうやらゴブリンに頭を殴られて意識を失っていただけのようで無事なようだ。女の子が声をかけて体を揺らすとすぐに意識を取り戻した。
◇
「ありがとうございます。僕たち初めての魔物を捕まえに来たんですけどいきなり後ろからゴブリンに襲われてしまって・・・こんな浅いところでゴブリンが出ることは少ないんですけど・・・マサトシさんがいなかったらと思うと」
二人の名前はシンとリリというらしい。マモモンマスターになるために初めてスライムを撮りに来たところをゴブリンに襲われてしまったそうだ。聞けば地方都市ゴルドーからやってきたとのことだったので、一緒にゴルドーに向かうことにした。
「私たち孤児院に住んでいるんですけど、弟や妹たちに美味しいものを食べさせたくて魔物を捕まえに来たんです。マモモンマスターになればお金を稼ぐことができるから・・・」
マモモンマスターはゴルドーいや、この国では働き口が多いようだ。魔物の討伐からマモモンを利用した働き先、民衆の娯楽として闘技場なんてところもあるそうだ。闘技場ではルールを決めてマモモンを使用して対人戦を行う。その街の闘技場によってルールも違う。ゴルドーの闘技場現チャンピオンはゴルドーを治める領主、ノイバウアー辺境伯の長男が君臨しているらしい。闘技場での対人戦が200戦200勝と歴史をみても最強と呼ばれる戦績を残しており、子供たちのあこがれになっているらしい。
ゴルドーやその周辺の出来事を聞きながらゴルドーに向かう街道を歩く。
やがて遠くに立派な城壁が見えてきた。
「あれがゴルドーだよ」
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