幼なじみは病気

那須茄子

第1話


 俺には、縁を切りたい幼なじみがいる。


颯斗はやと一緒に帰ろ」

「ごめん。無理」



 ....そいつは、とにかく目障りだった。視界の隅を現れては消える点滅のような姿で、こっちの気も知らずに関わりを持とうと迫って来る....



「なんで? 颯斗」

「用事がある」

「用事って何?」

「関係無い」

「関係ある」

「無い」

「ある」



 ....そいつは、他人の気持ちに鈍感で一方的だった。いつだって、自分の気持ちばかり優先して行動する。遠慮も配慮もない強情の塊....



「来るな」

「なんで?」

「迷惑だから」

「なんで?」

「キモい」

「なんで?」

「やめろって」

「なんで?」


 

 ....限界だ。そいつはキチガイなんだ....



「もういい。黙れ」

「なんで? 颯斗怒ってるの。私、颯斗と遊びたいだけ」

「誰が遊ぶかよ。お前みたいなキチガイと」

「キチガイ? それって私?」

「他に誰がいるんだよ」

「颯斗がいる」


 

 ....そいつは....



「私分からない。颯斗も他の子も。私は皆のこと好きなのに、皆は私のこと嫌いだって言う。ね? なんで颯斗?」 



 ....そいつは....



「なんで颯斗? 知ってるんでしょ?」


 

.....そいつは....



「お前が病気だからだよ」



 ....そいつは幼なじみを病気扱いする最低野郎だった....







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