第2話 腐った家庭の味


『シンの物語』はご存じの通り、虐待をテーマにしています。


最終回はああいう終わり方で良かったのか、正直、ずっと悩んでいます。

というか納得していません。

ですが、あれ以外に方法が思いつかなかった。

勿論、色々考えたし、案も幾つも出しました。


ですが、これは小説なので、ちゃんとエンディングに収束させなくてはなりません。それに現代ドラマなので、現実的な形で収まるようにしなくてはなりません。そうなるとあれ以外の方法は無理でした。


すみません、これが今の私の限界でした。


ですが、「被虐待児(虐待を受けた子)の救い方を提示する」ことよりも、

まずは「被虐待児」の実情を知ってもらうことの方が大事だと考えています。


あの小説が、被虐待児について皆様が知る・考えるきっかけになったのなら、これ以上のことはありません。


***


あの作品を通して、まずは「被虐待児」の実情を知ってもらいたかった。


なぜか?


私の周りで「被虐待児」に関心のある人がただの一人もいなかったからです。

当然、理解のある人もいません。

当たり前の様に大学に行き、親と毎年旅行を楽しみ、それなりの企業に勤める人たちばかりです。


「家庭は平和で安全」、それが彼らの共通認識です。


それなりの家庭で育ち、大学に行って就職をするという、所謂、「普通のルート」を辿ってきた人間の多くは「親の悪口を言う人は甘えてる。その人に問題がある」と考えています。


普通のルートを歩めた人間は「被虐待児」の気持ちが全く分からないです。想像もできないようです。それは仕方のないことです。


「親を悪く言うなんて駄目だよ。育ててもらったじゃない」

「そんな性格だから、親に怒られたんじゃないの。我が儘だったんでしょ」

「躾だよ」

「何もしてないのに殴られるなんて、そんな親いないでしょ」


そんな反応ばかりです。


その人達が共感力のない、意地悪な人達なのか?

いいえ、むしろ協調性があり、他者と仲良く、交流を楽しむような人達です。

いい人ばかりです。


そうです。

これが、「普通の人達の普通の感覚」なんです。

(ここでいう「普通の人」の定義は、「暴力・暴言・差別のない環境で育った人」とします)


だから、まずは知ってもらおうと思いました。

腐った家庭が、どんな味がするのか。


「被虐待児」はニュースになれば「悲劇の子」として同情されますが、

そうでなければ、

「いつまでも親のせいにする甘えた人間」

「自分の人生の責任が取れない社会不適合者」


……いっそニュースになった方が救われるかもしれないなんて

そんな酷い考えが頭を過ぎる。


酷いな、酷すぎる。

そんな自分に嫌悪感。


……すみません、今日はここまでにします。

続きは……応援されたら書くかもw

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『シンの物語』創作秘話 青燈ユウマ @yuma42world

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