第8話 仲間と共に(没クエスト発生中)
「カルネ先生! みんな! 今、助けに行くからね!!」
『星の回廊(没クエ)』の入り口が現れるなりマリカが飛び込んだ。
ん~、やっぱりではあるが…。マリカなのか?
マリカの故郷で発生してるからそうなんだろけど。彼女の専用装備はとっくに正規の『星の回廊』で入手済みなんだよな~。
オリジナル版で『星の回廊』が現れた時。中に自身の専用装備がある仲間が真っ先に飛び込む。
その後に主人公が続き2人パーティでのダンジョン攻略、最後に控える
そんなわけで、ここでマリカの何が?手に入るのか?さっぱりだ…。
「ところで、あれはどうだっけ?」
ここまでずっと雑魚をしばき続けたから消耗アイテムの確認とかしてなかったな…。
物理アタッカーと魔法アタッカーの2人パーティに必須の回復アイテム系の残量が気になる。もちろん、状態異常解除のアイテムも。
念の為にアイテムリスト確認。全く問題ない、所持数限界めいっぱいだった。
『星の回廊』を抜けた。
「ん、街? ダンジョンじゃないのか?」
正規の『星の回廊』は全てダンジョン。
ところが、ここは賑やかな街の中だった。
行き交う人々はすっかり見慣れた顔、顔、顔。数パターンあるモブ市民たちがありふれた日常を過ごしている街だ。
「それにマリカは?」
正規の『星の回廊』は入った時から2人パーティだった。
姿が見えない、ステータスを開いてもパーティメンバーとして存在しない。
「まあいい。きっとあれだな」
こういう場合はどこかに向かって先行しているマリカに追いついて合流するパターンだな?とか思ってみた、やり込み歴30年間以上のおっさんゲーマー。
先走って危ない目に遭ってしまった仲間の窮地に主人公が間一髪で駆け付ける。この様なシナリオを何回経験した事か。
そう言えば、マリカはこう言いながら『星の回廊』に飛び込んでたな。
”カルネ先生! みんな! 今、助けに行くからね!!”
そうか、この街は襲撃で壊滅直前の魔塞都市ベルナダウン。今マリカが向かっているのは母校のメルディ魔導学院なんだろう。
オリジナルでは数行のメッセージが流れただけで説明されたものだ。メインストーリーに絡むサブストーリー、それがまるっと没になっていたとは驚きだ。
「さて行くか、メルディ魔導学院へ」
俺が駆け出そうとした瞬間。
「あっれ~~。私が一番乗りだと思ったのに残念、先客がいるのか~~」
振り向いた先には主人公キャラがいた。基本デザインは14歳の少年だが、ビジュアルカスタマイズで可能な限り美少年っぽい感じにされた
「初めましてオクラさん、もうここにいるって事はプレイデータを使ったとか?」
「あぁ、そうだが。でも、オデンさんもそうなんだろ?」
「うん、まぁ、そういう事になるね」
それにしても…。
このオデンさん。
なかなかやるな!
ほんの一瞬BGMが途切れただけだ。あんなの普通にやってたらそう簡単には気付かないぞ。
「ところでオクラさんも気付いていますよね? そろそろ、魔塞都市ベルナダウンの崩壊が始まりそうだって。もしよろしければパーティ組みません?」
「そんな没クエが始まりそうだね、って……。それよりパーティとは? プレイヤー同士の交流は出来るけど、あくまで基本シナリオはソロプレイのままなんじゃ」
「ここ、基本シナリオから外れた没データ領域ですから。そういう表のルールの影響受けていないみたいですよ。ほらっ」
「なるほどね。取り敢えず、よろしくという事で」
「こちらこそ。全く同じ性能の物理アタッカー×2だけど、1人よりはマシでしょ? 没データの中じゃ何が起きるかわからないんだし」
「パーティ内に主人公2人。まあ、何だか没データっぽくて丁度いいかもしれないな。没データの中を進むには」
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