第一話 旅の始まり




おやおや。こんな所に小屋が。


クンクン、クンクン。


あの小屋から匂いがする。


(ゆっくりと、小屋へ近付く白狐)


(小屋の前で、魚を焼いている女の姿が見える)


(白狐は、静かに近付いていく)




「クンクン。匂う匂う!素晴らしく美味そうな匂いだ。」


(白狐の声に、女は驚いた顔で振り向いた)


「びっくりした!何だい、いきなり。」


(うちわを片手に、女は眉を寄せ、白狐を見た)


「いやいや。美味そうな匂いがしたもので、つい……な。」


(話しながら、白狐は、七輪の側に寄り、腰を眺めた)


「美味そうな匂いって……これの事かい?」


(七輪の網の上、脂を滴らせ、美味しそうに焼けている秋刀魚を指差し、女は言う)


「おお、これも美味そうだが……もっと、ほれ、なんと言うか……。」

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