第4話 彼のこと

親友に彼のこと聞いてみた。


「彼ってどこの小学校出身?」


「うちと同じだよ。」


「知っているの。」


「同じクラスになったことはないから詳しくは分からないけれど、サッカー上手いよ。」


「そうなんだ。」


「うちの弟が言っていたけれど、サッカーうまくてなんだか私立の中学校からスカウト来てたけれど断ったみたいよ。」


「なんで?」


「わかんない。でも弟はもったいない〜って言ってたから、そうとう上手いんじゃない。」


「でも今サッカーやっていないよね。」


「うん、あそこん家、お母さんいないんだよね。だから家の手伝いとかで部活に入ってないみたい。」


「そうなの?」


「いつも授業参観のときはお父さんが来ていたから、たぶんそうだよ。」


「そうなんだ〜。」


「何、彼のこと気になるの?」


「べべべべつにそういうんじゃなくって…。」


「同じオタク仲間としてでしょ。」


「ま、そう、そういうことね。」


「動揺が隠せていたいみたいだけれど、そういうことにしておいてあげる。」


「本当にそうだから!」


「じゃあ、今日一緒に行ってあげるから、彼ん家行ってみる?」


「ななな何言っているの?!いきなり行けるわけないじゃん!」


「あはははは、前通るだけだよ。」


「彼ん家上がるつもりだったの?私だって知り合いじゃないからそこまではできないなぁ。」


「わ、笑いすぎ!」


 とっさにそう返したけれど顔は真っ赤だったんだろうなぁ。あんまりこういう話にはついていけない。クラスでは誰と誰が付き合ってるみたいな話で盛り上がっているけれど、私は推しのことを考えていたほうが幸せだ。


 親友といっしょに帰り彼の家を教えてもらった。彼の家は自分の家から全くの方向違いではないけれど、少し寄り道しないといけないぐらいだった。通学路を変えていきやかえりに彼をみ見かけたことはあったけれど、もちろん話せるわけもなく、話しかけられることもなかった。

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