第5話 新たな日常が始まった。

幸也は酒も、睡眠薬も飲まずに7時間眠れた。起きてから、ふと昨日のことを思い出す。

急いで陽子が寝ている部屋のカギを外した。彼女はまだ寝ているようだ。


幸也は冷静に、落ち着いた感じで朝のルーティンをした。鳥の卵収穫、陽子がいつ起きてくるかはわからないが朝食の準備はしておいて自分は食べた。


陽子が起きてきた。

「おはようございます。ああ、暖房、最高。ええ、朝ごはん準備してくれてたんですか?ありがとうございます。あたしは本当に食べていいのかしら。」

幸也は、

「人間食べるのが基本。起きてからタバコは吸ったね?生卵は危ないから火を通すから、待っててね。そこに山ほどのCDがある。かけててもいいよ。CDは知らないかな?」

「音楽も聞けるんだ、兼藤さんって凄いサバイバルスキルがあるんですね。凄いなあ。」

そう言って陽子はかつてのJ-POPの90年代のダンスミュージックをかけた。陽子は満面の笑みを浮かべる。

「出来たよ、食べて食べて。」

幸也は乾パンと目玉焼きと最近見つけた粉ミルクをお湯で溶いたものを陽子に出した。陽子は深々とお辞儀をして食べた。

彼女は基本、礼儀正しく、昨晩の生理用品の件は自分がデリカシーがなかったと反省している幸也であった。

食べ終わってから、タバコをお互い吸った。

音楽は鳴り続けている。

「さてと、今日も雪なんだよね。これじゃ危ないからバイクでの食料探しはやめといて、僕は大幹トレーニングをするよ。陽子ちゃんはとにかく旅の疲れをいやしてほしい。

本気でここに住むなら一緒にしてほしいことはあるけどまずは休養だよ。ほら、お腹いっぱいになっているから眠くなってきたでしょ?」

確かにお腹いっぱいの陽子は目がとろんとしている。

「何から何まで甘えて、じゃあ部屋で寝ていいんですかね。灰皿は代えておきます。煙草の吸殻はどこに置いていたらいいのかな?」

「タバコの灰は集めてるんだ。これに入れて。吸殻というかフィルターは役に立たないから集めているんだ、あそこだよ。部屋の隅にある箱、一応防臭なんだ。」

陽子は部屋でのタバコの吸い殻を捨ててまた寝た。寝る前にタバコの副流煙を充満させるのは忘れないようにしている。彼女も生きる知恵を持っている。


幸也は大幹トレーニングを一時間してから食器を洗って少しくつろいだ。


「はあ、話せる人がいるのはいいなあ。とにかく春を待たないと。まあ、すこしケセラセラになってきたぞ。いいね。」


幸也はほんの少し顔が笑えるようになってきた。今までがシリアスすぎたのだ。

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